南くんのとなり | ナノ
南くんは公欠
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昨日はちゃんと早くに寝たから、今朝は余裕をもって起きることが出来た。だから普段なら絶対しないような家事をしたり、お昼のお弁当を作ったりしてから家をでた。
ゆとりのある朝はすごく気持ちが良いなと、心弾ませながら私は学校に向かった。



「南君・・・来ないなあ」


予鈴が鳴っても、本鈴が鳴っても隣の席は誰もいない。
いつもなら先生がくる前には着席している彼の姿が見当たらなかった。

(・・・もしかして休み、とか?)


毎日隣にいる人がいないからか、どことなくそわそわしながら担任の話を聞いていた。


「おーし、皆ちゃんと来てんな」


エライエライ、と感心するように教室を眺めると、私のとなりの空席に目がいった。その席の持ち主がいないことに特に疑問もないようにニカッと笑う。


「南は校欠か。バスケ部はインハイかかってるからな、皆応援したれやー」


先生はそうのたまった。

(・・・え、今日が試合?私なんにも聞いてなかったよ!南君、昨日も学校来てたんだから言ってくれてもいいのに!)


「すごいなあ・・・南君」


自分が騒いだところで今からでは応援にも行けないし、それならばとおとなしく心の中でバスケ部に声援を送った。それが届くかなんてそんなのは分からないけれど。

(要は、気の持ちようだから!南君がんばってね)





「はっっくし!・・・ああー」
「うわきったね!!鼻水とばすなや南!」
「うっせ。とんでへんわ天パ」
「天パは関係あらへんやろボケ!」
「はいはい。静かにしとけよタラコ」
「南ィ!!」


(風邪とか引いてへんのに、誰か噂しとんやろか)


「おい南!整列や!!なにボケーッとしとんねん!?」
「おう、今行く」



後日、豊玉高校男子バスケ部は県優勝とともにインターハイ出場を決め、学校では表彰式が執り行われた。
1年生ながらベンチ入りをしていた南君は、女生徒たちの注目の的になった。



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