南くんのとなり | ナノ
球技大会
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「じゃあ、今から1組対4組の試合始めんでー」


ピー

という笛の音と同時に試合が始まった。何のって、サッカーの。やる気のある人と無い人は半々でみんなそこそこ良い感じの試合だった。ちなみに私が所属する2組は初戦敗退なんだけどね。役に立てなくてごめん、みんな。サッカーは苦手。

チームは負けたけれど、大健闘した親友は私のとなりで爆睡中。流石にあれだけ走りまわったら疲れて当然だ。芝生の上でのびのびと熟睡している彼女の姿を見ていると、私まで眠たくなってきた。


「なあなあ!うちのクラスの男子勝ち残ってるらしいで?」


クラスの子の一言で、女子がみんなざわつきだす。そういうの好きだよね女の子って。それはぜひ私たちの分も頑張ってほしいとこだよね、なんてちょっとずれた事を考えながら私はその子達を見ていた。

・・・たしか男子の種目はバスケだった気がする。友人を放っておいてもいいのか迷ったものの、好奇心に負けて見に行くことにした。




体育館ではちょうど2組男子の試合が始まったところだった。開始直後からうちのクラスが点を重ねてあっという間に10点差がついていた。お互いにわーわー騒ぎながら男子らしく走りまわっている。

気付けば体育館にいるほとんどの人が試合を眺めて笑っていた。私もコート内の言い合いについつい笑ってしまう。負けた組の方がジュースをおごらなくてはいけないらしく、結構みんな本気だった。


「おい南!バスケ部が張り切るんはナシやろっ!?」
「お前のクラスにも部員おるやんけ」
「あかんて、コイツ振られたばっかで使いもんならん」
「知るか」


そう。主に南君の大活躍によってだけど、うちのクラスは悠々と勝利したみたい。試合を見に来た女子はみんな南君に釘付けで、かくいう私も驚いていた。

高校バスケのレベルは知らないけれど、これは相当上手いんじゃないだろうか。


「南君てすごいんだね・・・」


私がボソッと独り言をすると、隣にぬっと誰かが近づいてきた。


「全中、出てたくらいやからなあ」
「あれ・・・起きてきたの?」
「うん。起きたら名前も皆もおらんからビックリした」
「あはは、ごめんね・・・って、全中?それって全国大会のことだよね?」
「そ。うちの弟と同じ中学でな。有名やった」
「・・・どうりで、上手いわけだ」


そんなすごい人が一緒のクラスで隣の席だなんて、なんだか・・・うん、すごい。私が感動に浸っていると、体育館の入り口から先生の呼ぶ声がした。みんながぞろぞろとグラウンドに移動する。


「女子のサッカー、終わったみたいやね」
「そうだね。戻ろっか」
「優勝するつもりやってんけどなあ」
「ちゃんと大活躍してたよ」
「・・・」


急に黙った友人に私は小首をかしげる。少しして言った彼女の一言に私は思わず笑ってしまった。


「南のが目立ってたやん」


普段はさっぱりとした物言いの彼女の、こういう負けず嫌いで可愛いところが大好きだったりする。

教室までの道のりで親友がいかにかっこよかったかを私は嬉々として説明したのだった。

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