南くんのとなり | ナノ
教えて岸本くん
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今年の年明けはまさかの南君に会うことが出来てしかもおみくじを隣同士で結んでくれて、神様ありがとう!なんてはしゃいでいた私だったけど。



「先輩、お昼一緒に食べましょう?」
「・・・分かったから、そないひっつくな」


最近恒例になりつつあった目の前の光景のせいで、そうそう良い事なんて続くものじゃないなと思い知らされた私は、海よりも深い溜息を吐いた。



「・・・で、たまに名前に会いに来たっちゅうのに、教室のど真ん中で南にベタベタしとるあの女は誰なん?」


あっという間に冬休みが過ぎ去って、新学期が始まってから幾日かが経っていた。

久しぶりに自分のお弁当を持って私のところにやって来てくれた友人は、これでもかというくらいに眉間を寄せていて。
その視線はまっすぐに南君の腕を掴んでる女の子に向けられていた。


「バスケ部のマネージャーで、南君の・・・後輩の子」
「付き合って・・・」
「ないと思う」


私もチラリと二人の方を見ながら友人に説明する。以前私が南君に差し入れした時に揉めた子だと教えれば、納得したように頷いていた。


「そういえば言っとったなあ。あのマネージャーか・・・気ぃ強そー」
「どう思う?」
「好きやろな。分かりやすいアピールしとるし・・・名前も見習えば?」


私には出来なさそうだと苦笑いして、南君の腕を離さない彼女から視線を外す。とても、見ていて気分のいいものではなかった。





「名字、ええか?」


お弁当を食べ終わって友人とゆっくりしていたら、教室にはいなかった岸本君がいつの間にか私の隣に立っていた。


「うん。どうかした?」


顔にかかる長い前髪をかきあげる彼にそう聞けば、ぱん、と両手を合わせて「頼みがあんねん」と笑った。


「どんな?」
「英語の課題見せて」
「今日提出のやつだよね、忘れたんだ?」
「・・・へへ」


申し訳なさそうにしている岸本君に仕方ないなあと言ってノートを渡すと、恩に着るわと私の頭を撫でた。驚いて見上げればすぐにその手は離れていった。


(・・・急に頭撫でられたらドキッとする)


なんて私がどうでもいいことを考えていたら、黙っていた友人が「岸本やっけ?」と彼に話しかけていた。

私はどうしたんだろうとその様子を見る。


「南にベタベタのマネージャーて、いっつもあんな感じなん?」
「マネージャー?ああ、アイツか・・・最近はずっとあんなんやわ」
「へえ。南はどう思ってるんやろな」


私はなんとか平静を装いながら、岸本君がなんて言うのか待っていた。好きな人の話だからドキドキするし、内容を思うとハラハラもしていた。


「まあ俺から見てやけど、めんどくさがっとるんとちゃうか」
「ふーん?」


それを聞いて友人が「良かったなあ」と言わんばかりのニヤリとした顔でこちらを見てくるので、私は恥ずかしさですぐに顔をそむけた。
不思議そうにしている岸本君には、何でもないと言って小さく微笑んでおいた。




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