南くんのとなり | ナノ
おみくじの結果
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新年を迎えて、約束していた初詣に友人と二人で出かける。朝早くに近所の大きな神社に向かって参拝をしてから、おみくじを引く列に並んだ。

人混みは苦手だったけど、こういう行事では仕方ないよねと割り切って自分たちの番を待っていた。



「あ、大吉」
「いいねー大吉。私はね、」


引いたおみくじをぱっと開く。いくつになってもこの瞬間はドキドキするなあと私は思っていた。


「あー・・・中吉だって」
「へえ?悪くないやん。それに、中吉の方が良いっていう説も良く聞くけどな」
「だといいんだけど」


二人で顔を付き合わせておみくじを見る。

健康、気をつけよ。勉強、よい。金運、減りはしない。あまりぱっとしない内容だなと、ため息がでてしまう。健康が気になるけど、注意してれば大丈夫という意味なのだろうか。

(・・・とりあえず風邪には注意しよう)



「名前の待ち人のとこ、気になるなあ」
「え?」


友人に言われて私はすぐに待ち人の所を見た。


「待ち人は、すでに見つけている・・・だって。てことは、身近な人って事なのかな?」


すでに近くの木におみくじを結ぼうとしている友人に聞くと、そういうことやろな、と返事が返ってくる。


「『すでに見つけている。ただ待てば良い』って・・・気になる」
「まあ、おみくじを気にしすぎても仕方ないやろ。気休めみたいなもんやって」
「うーん・・・そうなのかな」
「そうそう。ほら、早うおみくじ結んどき」



友人に頷いて私もおみくじを結ぼうと木に近づいた。どこにしようかと悩んでいると、後ろからスッと手が伸びてきておみくじが無くなる。


「えっ・・・?」


突然のことに驚いた私は慌てて後ろを振り返る。
私よりもかなり上の方にある顔を見ると、私のおみくじを見ながらニヤついてる南くんがいた。


「名字も中吉か。悪くないやん」
「・・・も?」
「おん、俺も中吉やねん。一緒やな」
「そうなんだ・・・同じ、なんだ」


ほら、と見せてもらったのは確かに私と同じ中吉の文字。中に何が書かれていたのか気になったけど、その前に南君が木に結んでしまったので、見ることは叶わなかった。
・・・残念。


「せっかくやし名字のやつ、俺の隣に結んでええ?」
「あ・・・う、うん!ありがとう」


誰も届いてない高い位置に結ばれて並ぶおみくじを見て、私はそっと胸に手を当てた。どんどんと速くなる心音が南君に聞こえたらどうしようと不安になる。
例え中吉でも、新年早々南君と同じだと知れてさっきまでの不満はいつの間にかどこかに吹き飛んでいた。



「あ、忘れとった。名字・・・あけましておめでとう」


そう言いながら目を細める南君に見とれていた私は、近くで聞こえた友人の咳払いで現実に戻った。


「おめでとう。今年もよろしくね」
「・・・俺も、よろしく」


近くにいるという岸本君を探しに行った南君と入れ違いで隣に来た友人は、私の顔を見て満面の笑みを浮かべていた。



(・・・『待てば良い』か。今年も、南君と仲良くできますように)



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