南くんのとなり | ナノ
水戸くんの友達
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夏休みに入れば、今年も神奈川にある祖父母の家に帰省した。
水戸君に誘われるまま、去年に引き続き海の家でバイトをすることになっていて、大変なんだろうなと今から少しだけ憂うつだった。


今は駅近くのファミレスを目指していて、あと少しで着くというところ。何日か前に水戸君と連絡を取って、会ってご飯でも食べようという流れになっていた。


「水戸君、久しぶり!」
「元気そうだね名前さん」
「会えるの楽しみだったから」
「そっか・・・俺も」


店に入ると先に席に座っていた水戸君の背中を見つけて、すぐに駆けよった。
相変わらずのリーゼントに、不良とは思えない爽やかな笑顔がとても懐かしかった。
(背も、伸びてるなあ・・・)


「そうだ、名前さん」


ちょうどお昼時で少し混み出した店内でも、水戸君の声は不思議と私の耳によく届いた。
まだ中学生なのに落ち着いていて、この安心感はなんなんだろう。


「今年は俺のダチもバイトすることになっててさ。もうすぐここに来るんだ・・・勝手に呼んでゴメン」
「そうなんだ?」


顔の前で両手を合わせる水戸君は言葉とは裏腹に、楽しそうに友達のことを教えてくれた。


「小さくて丸いパンチパーマのやつと、金髪のやつ、ヒゲ・・・あと、赤い髪の大きいやつ」
「わあ・・・絵に描いたような不良だね」


水戸君は頬杖をつきながら、「違いねえなー」と笑った。そのまま見た窓の向こうに友人をみつけたらしく、赤やら金やらとカラフルな子達をこちらに手招きしていた。




しばらくして私の隣の席には高宮君と大楠君が、向かいには桜木君と野間君が座っていた。
それぞれ自己紹介をしてもらったけど、あまりにも私が浮きすぎている状況に少しだけ戸惑った。ただ救いだったのは、彼らも水戸君と同じでとっても親しみやすい子達ということだった。

(みんな、とても中学生には見えないよね・・・)


「名前さん、かわいい、です!」
「ふふ、無理して褒めなくてもいいよ桜木君?」


水戸君に聞いた通り大きな身長の桜木君は、なぜかその髪に負けないくらいの赤い顔をしていた。

(今日は特に暑いからかな・・・?)


桜木君が惚れっぽい人だと知らなかった私は、水戸君達をそっちのけの彼と楽しく話をしていた。


(いや・・・これは惚れたな)
(ああ、一目惚れパターンだ)
(中学通算49人目か?)
(・・・花道の好きなタイプだと思ってたんだよな)

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