南くんのとなり | ナノ
練習試合 1
( 29/78 )


「まいったな、もう始まってるかも」


体育館から聞こえる歓声と笛の音に自然と早足になる。楽しみにしてた分朝早くに目覚めたからか、逆にゆっくりしすぎて学校に着く頃には9時を過ぎてしまっていた。

今日は南君と土屋君に誘われた練習試合の日だった。


「こっち、かな?」


やっと体育館の上にある観覧スペースに辿り着く。思ったより人がいて(殆どが豊玉のバスケ部員か女生徒だった)、かなり盛り上がっているみたいだ。


「わあ・・・」


コートは2面で、すでにどちらも試合が始まっていた。3校がそれぞれ2チームずつに別れてローテーションで試合をしているみたい。一応バスケを経験してた身として、彼らの上手さにはとても驚いた。全国でも強豪と言われるだけはある。


「あ、土屋君・・・と岸本君」


コートによく知る二人を見つけた。ちょうど対戦しているみたいで、得点板を見ると大栄の方に多く点が入っている。
頑張れ!声が周りにかき消されても私は彼らに声援を送った。それだけその試合は白熱していて、観ている方まで熱くさせたのだ。



ピー
土屋君がディフェンスの上からダンクを決めたちょうどその時、隣のコートの試合が終わった。すぐに次の対戦チームが入って、その中に探していた彼を見つける。

もちろん、南君なんだけど。


「なあ、あっち南君出てるで!」
「ほんまや!カッコええな〜」
「近くの方行こっ」


すぐ隣から聞こえたのは女の子たちの会話。きゃっきゃと楽しそうに応援している姿に、南君がモテる事を再確認させられた。

(私も近くに行きたい、けど・・・)


南君がプレーしてる方は観ている人が多くてとても割込めそうになく、私はその場に留まった。少し遠いけど見えない訳じゃないし、近くで見る機会はまたあるだろうと思ってのことだ。

今は土屋君と岸本君の試合を見ようとコートに目を戻したら、見たことのある男の子がいた。それもつい最近。


「バスケ部だったんだ、あの大きい一年生・・・」


岸本君と同じチームでプレーしていたのは先日私が落し物を届けた子で、なるほどあの身長ならバスケ部で活躍できるんだろうなと一人で納得する。
その一年生君と岸本君のコンビプレーには目を見張るものがあって、観客を湧かせていた。


試合終了の笛が鳴って、僅かな点差で敗れてしまった豊玉だけど、その余韻に浸る間も無く次の試合が始まった。


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