南くんのとなり | ナノ
観にくる?
( 28/78 )


『来週の土曜日、暇やったらバスケ観いひん?』


土屋君に電話でそう誘われたのは先週のことで、どうやら豊玉で練習試合があるようだった。大栄と豊玉と池谷という学校の合同練習試合で3校共、大阪では強豪らしい。

見応えあるよと言われれば、直ぐに観にいくと返事している私がいた。
(だって、南君のバスケ観たい!)


早く明日にならないかな、なんて若干ソワソワとしながら一日を過ごして。今日最後の授業が終わってさあ帰るぞというその時、教室を出てすぐに誰かに呼び止められた。


「名字、待って」


それと同時に掴まれた腕の先を辿ると、そこには南君がいた。手を離すと、「あー、」と彼にしては歯切れの悪い声が聞こえてくる。


「あのな、」
「うん?」
「前・・・試合観たいって言ってたやん?明日練習試合があんねんけど、観にくる?」
「合同練習試合なんだよね」
「・・・知ってたんか」


目を丸くする南君。何で知ってるんだと言いたげな表情で私を見ていた。


「土屋君が教えてくれたんだ」
「・・・へえ?」


そういや仲良いいんやったな、と言って何やら考えていた。私は慌てて、「でも!」と続ける。


「私は豊玉の・・・南君の応援するからね?」


言ってから少し後悔した。きっかけは土屋君からのお誘いだとしても純粋に豊玉を応援しようと思っていたから、それを伝えたかったんだけど・・・。変に聞こえてやしないだろうか。

恐る恐る彼と目を合わせようとすると、


「・・・練習試合、9時からやから」


そう言って南君は背を向けてしまった。通りかかった友人に声をかけられるまで私はその場で動けなかった。
(南君、ちょっと顔赤かった・・・?)



「なーに固まってんの名前」
「え?いや、なんでも・・・」
「ほら、駅前のたこ焼き行くやろ?」
「うん。あ、そうだ明日さ、練習試合行かない?」
「部活や」
「・・・ですよね」



(・・・明日は一人でバスケ観戦か)
(楽しみだけど)
(なんかドキドキするなあ)

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