猫に好かれたい | ナノ
◇ 猫に好かれたい 05
( 5/15 )


「で、放課後デートはどうだったの?」


席に着くなりニヤニヤとした友人たちに詰め寄られ、今日は朝からどっと疲れた。あれはデートではなく、本当に、ただ一緒に下校しただけだ。あの男の子との進展はおろか甘い雰囲気さえ無かったし、そもそもそれを望んでいた訳でもないし。

私がそう言うと彼女たちは揃ってつまらなそうな顔をしたのでもうこの話は終わり、と無理やり話題を変えることにした。


「そういえば、あったよ写真」


手帳を開き、挟んであった一枚の写真を取りだす。前に楓くんの話をしたことを思い出して、アルバムを引っ張り出したのだ。幼馴染とはいえ彼と親しくしていたのは私が中学に上がる前までだから、写真といっても小学生の頃のものしか無かったけれど。

そこに写っているのは、公園でバスケットボールを掲げる幼い私とその隣でうっすらと微笑む幼い楓くん。いくつかあった写真の中で、彼が笑っているものは殆ど無かった。思えば昔からあまり笑わない子だったような気がする。


「なにこの子めちゃくちゃかっこいい」
「こんなイケメンと幼馴染なんて……」
「小学生でこれじゃ、成長した今がもっと気になるんだけど!」


口々に言われ、自分のことじゃなくても誇らしくなった。やっぱり楓くんは誰が見てもかっこいいんだ。…いやまあ、前から分かっていたけれども。


「幼馴染って言っても、今は挨拶する程度だからね?」


私の手に戻ってきた写真をもう一度眺めると、なぜだかとても大切なもののように感じた。

しかしそこで解放される訳もなく、友人たちにはあれやこれやとしばらく質問攻めにされ、それは授業開始の鐘が鳴るまで続いた。


PREVNEXT


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -