猫に好かれたい | ナノ
◇ 猫に好かれたい 03
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朝からわりと真面目に授業を受けて、ようやくお昼ご飯の時間になった。母お手製のお弁当を頬張りながら友人たちと楽しくお喋りをしていると、その中のひとりが唐突に口を開く。


「バスケ部の森田先輩、彼女と別れたらしいよ」
「うそ!?あの綺麗な先輩と?」
「森田先輩から振ってたのを見た子がいるって」
「…………」


誰が別れただの誰が付き合っただの。そんなよくある話題でみんながわいわいと盛り上がる中。はて、森田先輩て誰だった…?と一人首を傾げる私。実はこういう話題には少し疎かったりする。

そのうち誰がかっこいいかという話になると、ますます知らない名前が飛び交っていた。


「ねえ、名前は?誰がかっこいいと思う?」
「……私?…うーん、かっこいい人かぁ」
「そういや名前の好きなタイプとか聞いたことないかも」
「だよね、気になるよね」
「って言われてもな……」


今まで彼氏なんていたことがないし、告白したりされたりなんてのもない。そういえば好きなタイプとかもいまいちピンとこないし、あれ?私って恋とかしたことないっけ?と今更ながら気が付いた。これじゃあ華の女子高生なんてのも本当に名ばかりだ。

だけどかっこいい男の子なら一人、知ってるかもしれない。というか今の私には彼しか思いつかなかった。


「楓くん……かな」
「え?楓くん?誰それ」
「陵南の人?」
「ううん、うちの学校じゃなくて…というか、まだ中学生なんだけど、幼馴染の男の子でね」
「へえ、名前の幼馴染!」
「写真とかないの?」
「ないない」


今度絶対持ってきてよ!と興奮する友人たちに若干引きつつ、とりあえず曖昧に頷いておいた。これは要らぬことを口にしたかもしれない。

でも、かっこいい=顔の良さだというのなら、楓くんは間違いなく彼女たちにも気に入られるに違いない。それだけは絶対の自信があった。


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