嫌よ嫌よも | ナノ
幼馴染のあたりまえ
( 3/12 )


海南大学附属高校に入学して早数ヶ月。そろそろ学校生活にも慣れてきて、友だちもちゃんと出来た。部活は週二回の料理部を選んで、なんだかんだで充実した毎日を過ごしている。

宗一郎はバスケ部に入部した。そのために海南を選んだようなものだから、当然といえば当然だけど。さっそく厳しい練習に揉まれて、毎日ヘトヘトになっているようだった。朝練で家を出るのが早いし、夜は帰ってくるのが遅い。そうなると私たちが顔を合わせることも少なくなってなんだか違和感を感じていた。


「名前」


放課後、何もすることがないしさっさと家に帰ろうと校門に向かっていたら、ふいに名前を呼ばれた。振り返ると、私の少し後ろを歩く宗一郎がいた。


「あれ?今日は練習は……」
「監督に用があって、休み」
「へえ……そんな日もあるんだ?」
「まあね」


先に私の教室を覗いたがいなかったので追いかけたのだという幼馴染に苦笑しながら、自然と並んで歩く。こうして一緒に帰るのも久しぶりだった。


「頑張ってるね、バスケ」
「うん。想像してたより厳しい」
「……ついていけそう?」
「どうかな。やれるだけやってみるけど」


ぽつぽつと会話しながらお互いの近況報告をするあたり、やっぱり私たちはそれなりに「仲が良い」幼馴染なんだと思う。……すぐに口げんかとかもするけど。


「そういやさ、先輩とはどうなの?あの有名な先輩」
「牧さん?」
「そうそう」
「……普段は優しいよ。けど、バスケしてるときは別人なんだよね」


まだまだ手も足も出ないと話す宗一郎は、言葉とは裏腹にとても楽しそうな表情をしていて、私まで頬が緩んだ。今度、練習試合とかがあったら観に行こうかな。牧先輩も気になるし。


「明日の朝練も無いから、下で待ってる」
「わかった」
「……寝坊するなよ」
「わかってるって!」
「遅かったら置いてくからね」
「もう、しつこいってば」
「あはは」


マンションに着き、別れ際に笑う宗一郎に背を向けてさっさとエレベーターを降りた。明日は絶対に早起きして宗一郎よりも先に家を出とこうと決めた。




「えっ、名前ちゃん、神くんと幼馴染なの?!」
「なんか漫画みたいな関係だねぇ」
「いいなー!羨ましいー」
「……そうかな?」


翌日。一緒に登校してる所を見たという友人たちに問い詰められ、宗一郎との関係を掻い摘んで説明した私。


「みんなが期待するような関係じゃないと思うけど……」


幼馴染がいるというだけでキャッキャとはしゃぐ彼女たちを横目に、始業までの時間を確認した。


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