初恋大炎上 | ナノ
06



ところで、俺はモテる。前にも言ったが人間誰しも好かれることで嫌な気にはならない。もちろん男にモテて嬉しいみたいな趣味はないから、相手が女子の場合に限るけど。


(……昼休み、屋上……ね)


学校へ来て、下駄箱や机の中に手紙が入ってることも少なくなかった。いわゆるラブレターというやつだ。単にファンだとか好きだとか書いてあるものや、中には時間と場所を指定して俺を呼び出すものがあった。何のためかは分かるだろ?

気持ちは……まあ、ありがたい。恋愛に興味がないと言ったら嘘になるし。でも今の俺はバスケ中心の生活で、高校生のうちはこのままなんだろうと思うから。今まで何度呼び出されても告白に頷くことはなかった。



「……ハァ」


せっかくの昼休みだというのに、さっさと弁当を食って屋上へ向かう俺。毎度ご苦労なこった、とニヤニヤしながら送り出した高野には後で肩パンすることに決めた。屋上で待ってる子は可愛いだろうか。だとしても断るのは変わらないから関係ないけど。


「ごめんなさい」


もう一段、階段を登ろうとした時に聞こえたのは、申し訳なさそうな女子の声だった。いきなりごめんなさいってなんだ、と階段の先を覗く。踊り場で向かい合っていた男女を見て、なるほど誰かの告白現場に遭遇したんだと納得した。ここでも青春かよと内心面倒に思いながら壁に身を潜ませる。


「私、その、好きな人が……いるから」


なんで俺が隠れなくちゃならねーんだとか考えていたら、ふと引っかかりを覚えた。よくよく見てみれば、告白を断っているのは名字じゃねえか。


(へえ……あんまり目立たないタイプかと思ってたけど)


名字が意外にモテることを知った。彼女に気を取られていた俺は、話を終えてその場から離れようとする二人に慌てて背を向けた。そして屋上に呼び出されていたことなんてすっかり忘れ去り、そのまま逃げるように教室へと戻った。


「早かったな藤真!どんな子だった?」
「知らねー」
「うおっ」


ドン、といきなり肩を殴られた高野は頭にハテナを浮かべながら俺を見ていた。



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