初恋大炎上 | ナノ
05



練習や練習試合のとき、応援ギャラリーの中から名字を探すのが癖になっていた。見つけたところで彼女は真っ直ぐ高野しか興味ないみたいだし、いてもいなくても俺には関係ないんだけど。なんでか気になってしまうから仕方がない。


(……今日もいる)


名字はいつも応援の端っこで控えめに練習を眺めていた。何か部活とか入ってねえのかな。俺が見てる限り、毎日来てるってわけじゃないみたいだが、それでもよく来てる方だ。よっぽど高野が好きなんだろうな。

これだけ熱い視線を送られても本当に気付かないんだから、高野は相当な鈍感だとしか思えなかった。



「……え、好きな女のタイプ?なんでそんなこと聞くんだよ」


次の日の朝、教室で高野に聞いてみた。別に名字のために動いてるとかじゃなくて。ただの興味本位だった。いいから言えよとその無駄にでかい身長を仰げば、少し考える素ぶりをして口元に笑みを浮かべた高野。


「やっぱ可愛くて色気があって……おっぱい大きい子だろ」
「あっそ」


やっぱり馬鹿だ高野。俺は呆れて溜息をついた。日頃から彼女欲しいって言ってるくせに、そんなだからお前は名字の気持ちに気付けないんだよ。「聞いといてそれか?」と不思議そうにしてる高野は放っといて、とりあえず「名字ドンマイ」と心の中で唱えた。

まあなんだ、胸は小さくても内面で勝負すればいいし?俺は悪くないと思うけど。


「……あ、」


自分ではフォローしてるつもりでも今のはちょっと彼女に失礼だったかな。まさか聞こえてるはずが無いのに、名字の咎めるような視線が俺に向いてる気がした。


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