初恋大炎上 | ナノ
04



(あ、名字……)


廊下の掃除中、あらかた仕事を終えて窓枠に寄りかかる。ふと見下ろした中庭に見覚えのある姿があってついつい眺めていた。大きくも小さくもない体でいくつものごみ袋を両手に持って少しフラつきながら歩く彼女が心配になったが、すぐにそれを追いかけて来た男がいた。

なんと俺もよく知ってるそいつは、名字からごみ袋をさっと取り上げふたり並んでゴミ捨て場まで向かうようだった。


(おーおー、爽やかに手伝っちゃって)


頬杖をついていた俺は、さすがは翔陽のスターだなと口角を上げて親しげに話しをする二人を見下ろす。仲いいのか?同じクラスとか?もし俺が女だったらああいう男に惚れるけど、なんて考えながら名字の想い人の方を振り返る。


(……名字が好きなのは高野だもんな〜)


俺のすぐ近くでクラスの友達と話している高野。楽しそうに鼻の下を伸ばして語り合っているのは、今話題のグラビアアイドルについてだ。


「…………」


もう一度窓の外を見ると、笑顔で花形を見上げる名字。男の腹ん中が下心で溢れてるなんて1ミリも疑ってなさそうな笑顔。名字は良い意味で垢抜けていないというか、純粋そうというか。

俺がハァ、と溜息をついていると、盛り上がってる高野たちが急に話を振ってきた。


「なあ、藤真はどう思う?あの水着はやばいよな?」
「バッカ高野!翔陽の王子はグラビアなんか興味ないの!」
「それもそうか」
「……誰が王子だ」


馬鹿はお前らだ。周りの女子がちょっと引いてるぞ。気付け。ちなみにそのグラビアアイドルは俺も好きだ。


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