初恋大炎上 | ナノ
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親友の婚約を祝ったのがついこの間のことで、気が付けば今日が式の当日になっていた。学生の頃から知っている二人がいつかこうなるという予感……というよりむしろ確信は、ずっと前からあった。そして俺は、この結婚を本当に心から喜んでいる。


(昔から……藤真は名字にべた惚れだったからな。当然だろう)


昔馴染みのメンバーで用意されたテーブル。運ばれてくる料理を楽しみながら、昔の思い出に花を咲かせていた。そうこうしているうちに式は滞りなく進み、ようやく主役に声を掛けることが出来た。


「藤真が羨ましいぜ。こんな綺麗なお嫁さん貰えてさぁ」
「…………」


二人のそばに行くなり、本当に羨ましそうに呟いた高野。その素直な言葉に黙る俺。

バチ、と目が合った長谷川と俺はおそらく同じような気持ちでいるんだろう。その目からは、当時の名字の気持ちを知っていて、それでも藤真を応援していたという気持ちが受けて取れた。うん、そうに違いない。

恥ずかしそうに頬を染めてくすくす微笑む名字。どこまでも純真な白のドレスでバージンロードを歩いていた姿も良かったが、色直しで身につけた淡いグリーンのドレスもとても似合っている。だから、そう、俺も……高野の気持ちが分からなくは無かった。羨ましいほど綺麗な花嫁さんだ。


「……ありがとう、高野くん」


こてん、と首を傾げて目を細めた名字の表情は誰が見ても幸せで溢れていて。隣の旦那さまは二人のやり取りに少し複雑そうな顔をしていたが、心配しなくても名字はずっと前から藤真のことしか見ていない。だから安心しろ、と口にはしないが、心の中で唱えた。


「……おい花形、何笑ってんだよ」
「祝いの席だぜ。笑ってて何が悪いんだ」
「いいや、今のは俺に対して言いたいことがある時の顔だった」
「……そりゃあるさ」


やれやれと軽く息を吐きながら肩を竦める。変なところで鋭い親友にもう一度笑みを返した。


「二人とも……お幸せに、な」



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