初恋大炎上 | ナノ
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名字は未だ俺の気持ちに頷くことはなく、なんやかんやいつもうまく逃げられていた。

そんな中、高校最後の大会を見にきて欲しいと名字に伝えたのが数日前のことで。心底驚いた顔をして俯いてしまった名字の姿を思い出す。あの様子じゃ応援に来てもらうのは難しいかもな、と自分に言い聞かせていた。


「おい藤真、来てるぞ」
「っ……!」


だから、まさか本当に来てくれるとは思わなかった。観客席の一番後ろ、ここでもそんなに隅っこにいるのかと言いたくなるような目立たない場所に確かに名字の姿があって、少し不安げな顔で会場を見渡している。

今日の試合に勝てば冬の選抜に出場とあってチームの気合は元より十分だったけど……彼女の姿を見つけた俺は、さらに気が引き締まった。


(かっこ悪いとこなんて、見せらんねー)


グッと拳を握る手に力が入る。もう一度名字の方を仰げば、微かに視線が繋がったような気がした。本当のところ彼女が見に来たのは俺か、それともアイツか。


「やるぞ藤真!」


チーム全体で声を掛け合う中、まっすぐ試合に集中している高野を見て俺も完全に頭を切り替えた。


「頼むぜお前ら……!」
「「「おうっ」」」


選手として、監督として。チームにも自分にもそれから名字にも恥ずかしくないプレーをしようと気合を入れた。


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