初恋大炎上 | ナノ
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俺が名字を想ってることは彼女の友達どころかすぐに全校生徒の知るところになった。今まで自分から関わろうとする女子がいなかったから、俺の行動で少なからず周囲にはバレるもんだとは思っていたけど。


(……流石にこれは速すぎだろ)


あまりにも簡単に噂が広がるので、初めてこの学校が少し怖く感じた。おかげで名字に声をかけると学校のどこにいても好奇の目で見られてしまい、俺が近付くたびに周囲を気にする彼女には少し悪い気もした。

そして、花形が言ってた「大変」ってのはこの事だったのかとようやく理解した。


「やっぱお前、あの名字って子狙ってたんじゃん」


全校生徒に知れ渡ってるんだから当然同じクラスのやつらも俺の気持ちを知っていて。教室でも水臭いだのなんだのと好き勝手に言われ、内心でため息をひとつ。


「てことは高野に続いて藤真も彼女持ち?」
「まじかー……まあ藤真は今までいない方がおかしかったもんな」
「そうそう」


すでに俺と名字が付き合ってるみたいな言い方をされて思わず口を挟む。いや、まあ、そうなりたいのは山々だけどさ。

「言っとくけど、まだ付き合ってねえぞ」


そんな簡単じゃねーんだよと呟けば、一斉に呆れ顔が向けられた。


「どうせ時間の問題だろ」
「これだから人気者は!」
「バスケ部ばっかモテやがってよ」
「いや、モテるのは藤真と花形だけだぜ?」
「高野うるせー!彼女持ちは黙れって」


面倒になりそうな気がして適当にあしらおうかと考えているとタイミング良く午後の始業を知らせる鐘が鳴り、俺のもとに集まっていたクラスメートたちは散り散りになった。

名字とは仲が良い方だと思うけど、俺が気持ちを伝えても、いつもうまく躱されていた。これが友人の言う通り「時間の問題」だとしたらどんなに楽かと、なかなか名字に振り向いてもらえないもどかしさに俺は項垂れた。


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