初恋大炎上 | ナノ
01



その女の子の存在を知ったきっかけは、ただの偶然だった。

部活が休みで珍しく早く帰れるってのにこういう日に限って明日が提出期限のプリントを机の中に忘れてきた。心底面倒だとは思いつつも、しょうがないから自分の教室まで取りに行く。


「やっぱり、一番は藤真くん!」
「間違いないね」


通りかかった放課後のどこかの教室の中から数人の話し声がした。俺の名前が聞こえて思わず足を止めた。数人の女子が固まって、翔陽のかっこいい男子について雑談しているらしい。とまあ、よくある光景だ。別に悪口を言われていたワケじゃなかったから、悪い気はしなかった。誰だって好かれるぶんには嬉しいに決まってる。そのまま教室の前を通り過ぎようとしたとき、ひとりの女子がやんわりと異議を唱えた。


「うーん……そう、かなぁ?」
「名前には好きなひといるもんねー?」
「ちょっと……!」
「え、誰なの?教えてよ」
「バスケ部なんだよねっ」
「藤真くんじゃないんだ!?じゃあ花形くん?それとも、長谷川くんとか?」


別にあの子が……あー、名前だっけ?うん、とにかくその名前って子が、俺以外の誰を好きだろうがどうでも良い筈なんだけど。その好きなヤツってのがバスケ部だとか言うから、ついつい聞き耳を立ててしまった。そこはほら……なんとなく、気になったというか。魔が差したというか。


「……ーーくん、だよ」


周りの期待に照れていた名前が口を開いた。


「ええ!なんか意外〜!」
「そうなんだー?」
「な、内緒にしてねっ」


内緒の話を勝手に聞いてしまった俺は、心の中で名前に謝ってから、彼女たちに気付かれないようにさっさとその場を離れた。


( 1/48 )
PREV | NEXT


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -