初恋大炎上 | ナノ
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教室の入り口付近で向かい合い、彼女と楽しげに話す高野。俺はそれを机に頬杖をつきながら眺めていた。


(ちっ……高野のバカがあんな目立つとこでイチャつきやがって)


名字の気持ちに気付いてねーから仕方ないとはいえ、あいつに見られそうな場所で何やってんだよ。と、文句のひとつでも言ってやりたい。練習を見にこなくなった名字は、もちろんこのクラスに顔を出すことも無くて。まあ、あの二人を見るのは辛いだろうし、当然だとは思うけど。それだと俺が名字に会えないことに気付いたのがつい今しがただ。


(名字はお前を想って泣いてたんだぞ……)


あ、いやでもアレがなかったら俺は自分の気持ちを確信できなかったしむしろ高野に感謝するべきなのか。けどな、やっぱ名字には泣いて欲しくねえよ。授業の予鈴が鳴り、少し慌しくなった教室で俺は誰にも聞こえないほどの溜息をこぼした。



「今日も来てないみたいだな」
「……おう」


誰が、なんて聞かなくても分かる。花形が言うそれは名字のことだ。放課後の練習中、その応援の中にやっぱり彼女の姿は無かった。

「……名字は良い子だよ」
「見てりゃ分かる」
「そうか。余計なお世話だったな」
「花形……名字のことになるとよくつっかかってくるけど……まさかお前も好きとか言わねえよな」
「……フッ」


少し気になっていたことを直球で聞いてみると鼻で笑われた。さらに「人として好きってのはあるけどな」と余裕な顔で見下ろされ、なんだか挑発的なそれに俺も負けじと真顔で見上げてやった。つまり花形は、そこそこ名字のことを好いてるということだ。そのうえで俺の名字への気持ちを応援してくれるんだから、こんなに頼もしい親友はいないと俺の口角がわずかに上がった。


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