初恋大炎上 | ナノ
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いつも通り朝練を終えて更衣室に戻ると、今日は朝からご機嫌だった高野が聞いて欲しいと言わんばかりに咳払いをしてメンバーの注目を集めた。何事だ、と着替える手を動かしながらそちらを見やる。


「えー、今日は俺から報告がある!」
「……なんだよ改まって」
「補習にでも引っかかったか?」
「ハハ、まさか彼女が出来たとか言わねーよな」


上から一志、花形、永野。それぞれ興味なさそうに返事をしていたが、とりわけ永野の言葉でニンマリとした高野。おいおいおい、なんか変な予感が……


「そうなんだよ!実はおれ、彼女出来た!」
「な、なにぃぃいいい!?高野にか、か、彼女!先越されたっ!」


そう叫んだのは永野だった。もちろん一志も花形も目を点にして固まっていて。高野はメンバー全員を心底驚かせてくれた。


(高野に彼女、だと?……まさか名字か?そうなのか?)


気になった俺は花形に視線を向けた。ちょうど花形も同じタイミングでこっちを見て、お互いに首を傾げた。長年の付き合いで考えてることくらい分かる。どうやら花形も相手のことは知らねーらしい。というか、もし名字が高野と上手くいったんならそれでいいんだけどな。応援してたわけだし。でももし、高野が付き合ったのが違う子だとしたら……


「その彼女ってのは、誰なんだ?」


みんなが気になっていたことを一志が聞いてくれたけど、高野が口にした名前に聞き覚えは無くて、もちろん顔だって浮かびやしない。誰だよそれ、名字じゃないのか。隣で永野が悔しそうに「あのスタイルいい子だな!?」と呟いていた。おい高野、けっきょく胸か。


「あー、その、なんだ……おめでとう?」
「なんで疑問形なんだよっ」


友達として、高野に彼女が出来たことは喜ばしいことだ。素直に祝福してやりたいと思う。けど、心のどこかで引っかかりを感じるのも事実だった。


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