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仙道と年越し
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ぬくぬくと暖かいコタツの中で、少し動けば足と足とが触れる。その原因である、規格外の大きな男に視線をやり、文句とともに目を細めた。


「…………狭い」
「ハハ、やっぱり?よく言われる」
「まあ分かってたけどさ」


誰々の家で年越ししよう、そう言って集まった大学の部活仲間たち。しばらくはお酒を飲みながら今年一年の思い出を語ったりして、時折、付けっ放しにしている歌番組にも耳をすます。

しばらくすると何人かが買い出しに行くと言い出し、部屋に残ったのはこの男、仙道と私の二人だけだった。


「そんなにたくさんで行かなくて良くない?」
「たぶん気をつかってくれたんだろうぜ」
「誰に?」
「俺に」
「何で」
「好きだから」


ここで「誰を?」だなんて無粋な質問はしないけれど。なにもこんな年の瀬も押し詰まった頃に告白しなくたって。私が断るという予想はしなかったのだろうか。


「返事は年明けでいいよ」
「……あと十分しかないじゃん」
「前向きにお願いします」


平然とした彼の様子に呆気に取られていると、そのうちどんどん時計の針が進み、私たちは無言のまま新年迎えた。

まるで返事など分かりきっているみたいに、笑みを浮かべた仙道が楽しげに私を見ている。



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