三井とカウントダウン
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寒空の下、程よい人ごみに紛れて隣の彼を見上げる。
「ここで年越すの、何回めだっけ」
「付き合ってからだから……5回めくらいか?」
「え、もうそんなになる?」
「なるなる」
「そっか……」
近所の神社では毎年、年越しのカウントダウンが行われていて。飽きもせずにまた、私たちはここに足を運んでいた。
「お前、そういうとこ適当だよな」と言って白い息を吐き出した寿が、チラッと腕時計を確認する。たしかに私はあまり記念日だとかには拘らないタイプで、むしろその辺は彼の方が意識してくれているような気がする。でもね、そんなの別に関係ないんだよ。
「付き合って何年めだとしても、寿を好きな気持ちは変わらないからね」
「……そうかよ」
「照れてる」
「バーカ」
「ふふ」
どれだけ時が経っても、毎年同じことの繰り返しでも。ただ隣に貴方がいてくれれば。それだけで私は幸せ。
「「3、2、1、……あけましておめでとう」」
ふたり声を合わせた新年の挨拶に頬が緩む。今年も来年も再来年も、きっとずっと一緒に。