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仙道家の事なかれ主義
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「ねえ、俺のアイス食べた?」


毎年お正月になると帰省してくる弟の彰は、滅多なことでは怒らない子だ。それはこの弟に限らず、家族全員に言える。おっとりマイペースな仙道家に産まれてから二十数年、言い争う声なんて聞いたこともなかった。


「彰のだったの?ごめんね」
「ちぇっ・・・楽しみにしてたのにな」


こうしてアイスを食べられてしまっても、すこーし拗ねるだけで声を荒げることもない。


「あとで買ってくるから許して」
「ん、いいよ。俺も一緒に行く」


そんな弟が、バスケというあんなに激しいスポーツの世界に身を置いているというのが、正直今でも信じられなかったりする。


「いつも頑張ってるから、好きなの買ってあげるよ」


やった、と喜ぶその姿には昔と変わらない年相応の子供っぽさがあって、なんとなくホッとしてしまった。




弟と離れて暮らすのは、少し寂しい


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