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神家の休日
( 20/35 )


とある日曜日。いつもより少しだけお洒落をしていると、フラリと現れた弟が私を見てニコニコしていた。男のくせに私より可愛い笑顔だ。


「姉さんどこか行くの?」
「うん。ちょっと買い物でもと思って」


ただの気分転換で買い物に出かける事は少なくなかった。行ってくるね、と続けようとした私より先に弟の宗一郎が口を開く。


「俺も一緒に行くよ」


なんとなく予想出来ていたそれに、あはは、と笑い返す。というのも、弟は少しばかり姉である私のことを好きすぎるきらいがあるから。暇さえあれば私にくっ付くその姿は正直可愛いのだけれど。姉としては心配にもなるのだ。


「せっかく部活がお休みなのに。……一緒に遊ぶ彼女とか、いないの?」
「うん……今は好きな子も、いないんだ。バスケが楽しいし」
「そっか」
「それに姉さんとこうしていられるのも、この先あんまりないだろうからさ。今は甘えさせてよ」


私より遥かに高い身長の筈なのに器用に上目遣いしてくるところなんか、誰に似たんだか。こんな風にお願いされたら断れないに決まっている。


「俺もすぐ準備するからね。なんかデートみたいで嬉しいな」
「……」


まったく、これで弟じゃなかったら私はとっくに落ちてるな、となんだか惜しいことをした気分になった。




ブラザーコンプレックスに悩む


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