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牧家の目覚まし
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「……きろ、……なあ、姉貴」


誰かに軽く揺すられて、だんだんと意識が浮上してくる。顔にかかった前髪をさらりと耳にかけられたところで、私は薄っすらと目を開けた。


「んん……」
「姉貴、朝だ。そろそろ起きろよ」
「……し、んいち」
「早く準備しないと一緒に出られないぞ」
「はぁい」


目の前にいたのは弟の紳一で、朝はいつも彼に起こしてもらっていた。そして一緒に家を出て、駅までの道を並んで歩く。それが幼い頃からいつの間にか習慣化していて、さながら紳一は私の目覚まし時計といったところ。

友達にこの話をすると大概驚かれる。そして、そんなんだから彼氏が出来ないんだとも。


(そうは言ってもなぁ、私、紳一じゃないと起きないし)


「どうかしたか?」
「……ううん。これからも朝はよろしくね」
「急になんだよ」




いつも君の声で目覚めたい



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