二番煎じ | ナノ
「ばーか」


高校生活の中で私も人並みには良好な人間関係を築けているんじゃないかと思っている。それはクラスメートだったり、委員会の先輩や後輩だったり、先生だったりするワケだけど。

中でも一番の友達といえる気の置けない親友がいて、彼女にだけはいつも心の底から頼っていた。


「だーかーら、早く別れるべきなんだって」
「うーん・・・」


昼休みも残すところ数分という頃合で、私と親友は食べ終わったお弁当箱を片しながら例の彼について話していた。

私が今の彼氏と付き合いだした当初から、親友には注意しろと言われ続けている。世話焼きな彼女はこうして定期的に私の近況を聞き出しながら共感してくれたり、そして時には的確なアドバイスをくれた。


「常に上からだし、名前のこと物みたいに扱うじゃん。それに・・・正直、名前がアイツのことを好きなようには見えないよ」


親友の言葉に何も言い返せないのは、それらが事実だと認めているようなもの。分かってる。分かってるけど。


「・・・いいところも、あるんだよ?」


不思議なことに彼氏のことを否定されると、逆に庇うような口ぶりになってしまう私。

自分の矛盾には、いつも呆れる。でもそうしてしまうのだから仕方がない。心と行動がちぐはぐでも、これが私なんだから。結局は当たり障りない毎日の中でこうして親友に諭されながら、今の彼氏とこのままなんとなく付き合って、その他の人たちともそれなりに仲良くして。いつの間にか高校生活も終わるんだろうくらいにしか考えていない。

そんな私の心内を見透かしているのか、大きな目をスッと細めた親友が軽く手を伸ばしたかと思うと、直ぐに額に衝撃があった。


「いっ、痛い!」
「ばーか」
「何で!?」
「・・・別に」


素知らぬ顔でデコピンをお見舞いしてくれた彼女はすでに私に背を向けていた。流れる黒髪が日に反射してとても綺麗だと思った。
私のことを思って言ってくれているのがひしひしと伝わってくる。いつもありがとう。でも、もう少し頑張ってみるから。

彼女が男だったら確実に惚れてるな、と小さく笑ってから、午後の授業に意識を向けた。


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