「古市、」
「うわっ」


ぐい、とびっくりするくらい強い力に引っ張られる
思わずよろめいたらドン、と広い胸元にぶつかった
見上げた先にはいつにも増して真剣な表情の男鹿がいて、少しだけ面食らってしまう


「あのアホ共なんかじゃなくて、俺にしとけ」
「でも……」
「大丈夫だ古市、俺は必ずお前を幸せにしてみせる!」


ドンッ!と漫画だったら大きな吹き出しが付いてきそうなくらい、男鹿は堂々と言い放った
なんだかおかしなその台詞に疑問を感じつつ、ある一つの結論に至って思いっきり眉をしかめた


「…お前なにプロポーズみたいな事してんの?」
「ばかめ古市、プロポーズに決まってんじゃないか」
「普通キスだけじゃプロポーズまで行かねーのッ!」


そうなのか、と聞く男鹿にそうだよ!と返す
こんな恋愛の「れ」の字も知らないやつにキス(とてつもなく悔しいがファースト)を捧げる事なんざ御免だった
未だにそうなのか、と考えてる男鹿を尻目に頼みの神崎先輩へと視線を向ければ、姫川先輩と何やら言い争ってて叶わなかった

どうしようもなくなって追い詰められた思考に、一つの考えが浮かんだ
得策とは言えないが、この人たちとキスするくらいなら何倍も増しだ
勢いよく振り返って優雅にベル坊にミルクを上げていたヒルダさんを見詰める
そのまま歩み寄ってミルクを飲み終えてご満悦のベル坊をそっと抱き上げた
そしてその柔らかい赤ん坊の唇に、俺のそれを重ねた


「「「…………」」」
「ダーブーッ!!」


俺を含めその場にいた全員が無言になる
ただ一人、ベル坊のご機嫌な雄叫びだけが教室にいつまでもこだましていた












そして数十分後、俺は無事に元の身体に戻ることが出来たのであった





―――――――――――



勝手ににょた(後天性)にしてしまってすいません(汗)
返品、書き直しいつでも承っております

個人的には男鹿古、夏古、姫古、東古、姫神、夏神夏のイメージでした
神崎は古市のいいお兄ちゃんって感じです^^

ここまで読んで下さった皆様に感謝



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