※古市後天性女化注意





「なんだ、これ」


自動販売機でジュースを買いに行ってる間に、いつの間にか自分の机に置いてあった飴玉
ころんと置かれたそれは、透明のビニール袋に包まれた淡いピンク色のかわいらしいものだった
手に取って見るとその飴玉は本当に綺麗で、蛍光灯の光に反射してきらきらと光っている
まるでビー玉のようなそれに見とれてるうちに、無意識に包みを開けていた
瞬間、鼻孔を擽る甘い香
ピーチティーより爽やかで熟れた苺より甘い、なんとも美味しそうな匂いがした
自分はそこまで甘党ではなかったが、その香を嗅いだ途端無性に甘いものが食べたくなった
そして周りを確認しながら、恐る恐る飴玉を口に運ぶ


「………うま!」


口内に入れた途端に広がる爽やかな甘味
さっき飲んだ安い炭酸水を易々と打ち消すほど、その飴玉は絶品だった

残念な事にあまり大きくなかった飴玉は、ものの数分で口内へと溶けていった
甘さの余韻に浸っていたちょうどその時、身体の奥底からまるで血管が波打つような衝撃に襲われた


「……っう、」


身体が、異常な程に熱い
堪らずその場に蹲る
血管が物凄い勢いで脈打っていた
謎の衝撃の波が収まった後、古市は自分の身体に違和感を感じた
なんとなく、肩口がスースーする
目線を向ければなぜかちゃんと来ていた筈のワイシャツの襟元から肩口が覗いていた
ボタンを閉め直そうと胸元に手を掛けた時、“それ”にようやく気が付いた


「………へ?」


場所的にあり得ない膨らみを感じた
いやいや冗談でしょ
いくら女の子が好きだからって、女の子の柔らかい身体に憧れてたって、それはない
そろそろいい加減に変な妄想とかやめよう、うん
そりゃ触れたいと思うよ?
健全な男子高校生ですもん
胸を張って断言出来ます
でもそれは可愛くて守ってあげたくなる女の子に対する願望であって、とても自分にそんなことは求めてない
だからさっきのは完璧気のせい
うんそうだ絶対にそうだ
夢じゃあるまいし、てか夢だとしても嫌だし
よしもう一回ちゃんと確認しよう、せーのっ




むにゅっ





「……………」


神様、俺の声が聞こえているのならどうか教えて下さい


俺はどうして女の子の身体になっているんでしょうか?


          




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