決まってその次の日の朝は早くに目が覚める
出すものも出したせいか頭はすっきりしていて、昨夜のことなんかいま考えれば夢の様にも思えた
けど僅かに身体に残るだるさと何より隣であほ面かまして寝てる古市がそれは夢じゃない事をちゃんと物語っている

ゆっくりと暖かい布団から出れば日増しに鋭くなる寒さが肌を突き、さすがに床に脱ぎ捨ててあったジャージを着た
昨夜あれから気絶した古市を起こさないように後処理はしたと言え、布団から除く白い肩は寒そうだ
クローゼットの中から古市が予め泊まる用に置いておいたパジャマを引っ張り出す
ベッドに乗り上げてそっと古市の上半身を持ち上げて胡座をかいた上に乗せ、後ろから抱き締める体制にして足に引っ掻けたパジャマのズボンをゆっくり上げた
上は右手左手と袖を通してからボタンを丁寧に一つずつ止める
パジャマのひんやりした感触が不快だったせいか古市の眉間に少ししわが寄る
宥めるように髪をすいてやれば直ぐに目元は緩まった

「……アホ面」

力の抜けきった古市の寝顔は拍車をかけて幼く見える
なんとなく悪戯心が湧いて薄く開いた柔らかい唇を親指でぷにぷにと押せば、くすぐったいのか困ったふうに眉が垂れた
おもしろくてしばらく唇を弄って遊んでいたら急にパク、と親指が食べられた
驚いたその先には薄く開いた薄茶色の瞳

「……なに遊んでんだこら」

仕返しと言わんばかりに親指を甘噛みされた
その光景がまるで母乳を飲んでる赤ん坊みたいで笑えたが、夢うつつの古市のその表情がなんとも可愛くてそのまま好きな様にさせる
やがて飽きたのか疲れたのか、口を開けたところにすかさず人差し指を突っ込んで暖かい口内と舌の感触を味わう

「……んっ、ふ…」

口内を好きなように弄べばおずおずと古市の舌が追うように人差し指をつついてきた
それに答えて舌に指を絡ませてやれば、なにが美味しいのか知らないが古市は懸命に俺の指をしゃぶった
その舌の感触とくぐもった声に昨夜の光景が蘇り、熱がぶり返す前に慌てて指を引っこ抜けば古市は物足りなそうな表情を浮かべる
まったく、寝ぼけたこいつは凶器だ

「ほら、もう寝ろ」

今すぐがっつきたい欲求をすんでの所で抑えて少し強引に古市をベッドに寝かす
不満そうに剥れる顔に、これだけならいいだろうとリップ音を立てながら柔らかい唇にキスを落とした
そのまま一緒に横になってやれば満足したのか緩く微笑んで大人しく瞼を閉じた
まったく、これだからこいつには適わない

たぶん朝になればこの事は忘れているだろう
さっきとは打って変わって腰が痛いだの身体中だるいだの絶倫デーモンだのと暴言を吐かれるんだきっと
けどそんな照れ隠しもお見通しな訳であって、耳がほんのり赤くなってるって事はきっと古市は気付いていない



寝息をたて始めたその唇にもう一度キスをして、そのぬくもりごと腕に抱き込んだ

まったく、死ぬほどかわいいやつめ

「大好きだばかやろう」


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