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木の葉まで、このペースで行けば10分とかからないと解ってはいたが、足を止めテマリは普通に歩き始めた。
普通に歩くと多分30分ぐらい。

無駄な時間、だと思う。

単なる儀式みたいなものだ・・・あの男の姿を見るまでの陳腐な表現で言えば「心の準備」。
なんだか自分が「乙女」みたいではないか。我愛羅がわるい、あんなこと言うから。



「あちらの連絡係はシカマルだ」
「アイツか」
自分の感情を顔に出さないつもりが声に出た。
「嫌なのか?」我愛羅は無表情に小首をかしげる。

肉親の情というものをここ数年でやっと取り返した結果、表情がまったく変わらない末弟のちょっとしたしぐさでその感情が読み取れるようになった。
つまり、小首をかしげる・・・というのはテマリを心配しているようだ。

「そんなことはない・・・が、アイツは苦手だ。少し」控えめな表現を付け足す。
なぜ?という風に我愛羅は目をパチパチさせた。
「・・・話がまわりくどいんだ。そのうえ何かというと"男が、女は"とうるさい」
「ふむ」
「しかも口癖が"めんどくせぇ"だ。頭はいいのかもしれないが、こまった男だ」
「ふむ」
「・・・何がいいたい、我愛羅」
「苦手なヤツの話をしているように見えない」
「・・・は!?」
意外と楽しみなんじゃないか、シカマルに会うのが。では、他の執務があるので下がって欲しいと我愛羅は言い放つ。

テマリには我愛羅がすこし笑ったようにみえた。



あの弟はいつからあんな面倒な事を言うようになったのだろうか・・・などと考えていたら、もう木の葉の入り口だ。
シカマルに会うのが楽しみ?この私が??
テマリ的には近年稀にみる緊張感がある。なのに楽しみ、なのか?

いた。

門に姿勢だけはいい背中をあずけ寄りかかり、腕をくんで足元を見つめてる。
勝手に心臓が跳ね上がった。
残念ながら「心の準備」とやらは出来ていない。忍失格だろうか。


しかし、まずは何と声をかけようか?






2007.9.2

END

サイトオープンおめでとうございます!!シカテマ、初めて書いたですよv

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『遠くまで』のはまさんより、頂きました。

うわわわわーーーー!はまさん、本当にほんとうにありがとうございました。
こんな事をして頂けるとは思っていなかったので、びっくりしてものすごく感動しましたっ。本気で涙出そうです・・・ホントにありがとうございました〜!!!
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