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起床、8:35。
奈良家における生活パターンとすればこれは絶望的といって差し支えない時刻だ。まあ過ぎたことは仕方ないしとりあえず二度寝、とはいかなくて俺は渋々体を起こした。良く乾かさないまま眠りについたせいで、変に形がついてしまった髪が首に当たって不快。何てことはない普段通りの朝。

11:15、五代目直々の出勤要請(露骨な嫌がらせだ)を受けて貴重な休日が唐突に終わりを告げる形となる。仕事内容は、五代目がとにかく「端から」片付けてしまった仕事の調査書やら報告書やら報告受理書やらの整理とその他雑用。上忍棟を走り回るのにも慣れたもんだが、通りすがりの上忍からおもむろに小金を渡され「茶菓子買ってきてくれ、甘いの」と言われた時はさすがに虚無感に捉われた。何してんだ、俺。

14:50、受付の前でサクラに会った。会うなりはっとしたような顔で指をさされたので、その指を無言で横に退けた。人を指さすなって教わらなかったのか。
「確か一日違いだったのよね?」
待ってて、とサクラは言って駆けて行ったかと思うと、カップのコーヒーを持って戻ってきた。
「おごりよ」
それじゃ、と有無を言わさぬ軽快さでサクラはぱたぱたと駆けていく。忙しない奴だ。それにしたってコーヒーかよ、と思いながらそこはそれ、有り難く貰っておくことにする。暦の上ではとっくに秋だが、日が中天に昇るこの時間はやっぱりそれなりに暑くて、水分が欲しくなる。言わずもがなホットで、砂糖とクリームがたっぷり入っていた。…何てこった。

19:10、想定より随分早く仕事から解放され、よたよたと帰路に着いた。室内業務が主だったので、知り合いにあまり会わなかったなーと思っていたら帰り道、甘味処の前で八班と出くわした。どうもやつらは今から任務らしい、ご苦労なこった。
「ところでよ、シカマル」
「何だよ」
「ここに今買ったばかりのアップルパイがある」
俺の誕生日が言えたらくれてやろう、と偉そうにキバが言って、シノとヒナタは不思議そうに顔を見合わせた。(紅先生は後から合流するらしく不在だ)まあ当然だろう、キバが覚えていたのだって俺にしてみれば甚だ意外でしかない。まるで来年ヨロシク、と言うように赤丸が一度吠えた。

20:00、帰宅。本来ならもっと早く着いていて然るべきだが、どうしてか寄り道していきたくなってあちこちふらふらしてきた。結果的に足がよりだるくなっただけだった。台所では親父が冷蔵庫を(主に酒目的で)漁っているところで、母親は今風呂だと言う。何となくほっとして自室に向かう。今は何か食う気分じゃない。
すっかり暖かみを失った布団に倒れ込み、故意に大きな溜め息を吐いた。まだ着替えてもいないし風呂にも入っていないのにこのまま眠ってしまいそうだ。どうしてだろう、今日は確かに大変な一日だったが、いつもこの四倍は大変な訳だし、それなのに何故今日に限ってこんなに疲れるんだ。




…起きて時計を見たら11:25をさしていた。寝ていた。倒れ込んだままの姿勢で、つまり忍者服のまま髪もほどかずうつ伏せで、涎まで垂らして寝ていた。いくら俺のすることとは言えさすがにかっこ悪かった。取り敢えず起き上がって着替えることにする。しっかし変な夢を見ていた、まるで今日の出来事を反芻するだけの夢で、ただし俺は何か探し物をしているのだ。それで、誰かに名前を呼ばれた気がして、振り向いて、起きたんだ。あれは誰の声だっけ。

「…シカマル!」

えっ。
実際に声が聞こえて振り向いた。
部屋に一つだけある窓、深夜だけあって外は真っ暗だが、そこに誰かいる。俺を呼んでいた、目が合うとしょうがねえなぁと言わんばかりに苦笑した。

「…アスマ?」
「あー、大した用じゃねえんだ開けなくて良い」

驚いて近付くと、窓の向こうのアスマは慌てたように手を振った。


「シカマル、誕生日おめでとう」


じゃあ俺行くわこれから任務なんだよ、と本当にそれだけ言って慌ただしくその姿は闇に消える。何しに来たんだつうかそれ言うだけにわざわざ起こしたのか大体まだ誕生日じゃねえよそれよりこんなとこに寄り道してて間に合うのかその任務はとか、言いたいことも考えたいこともそれはもう沢山あったのだけど俺はもう眠ることにした。
探し物は見付かったから。
久しぶりに良い夢が見れそうだった。





9/22



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シカマルハピバーッ!\(^o^)/
自分の誕生日覚えててくれる人がいるって、幸せなことだよねえ!もちろん翌日いのちゃんとチョウジからも祝われ倒すよ!シカマルもいのちゃんを祝い倒すけどね、十班はみんないちゃついてれば良いと思う(^^)
要らんとは思いますが今月一杯フリーにします。どなた様でもご自由にお持ちください。

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シカマルの一日を覗き見してしまった…古都森さま@傷口より、強奪してきました。た、たまらんっ!!!ありがとうございます。

2009.09.24
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