太陽が沈み 月が顔を覗かせる夜





二人だけの濃密な時間は





少しだけスパイスを効かせれば





甘さが増すって、知ってた?













-いじわる-















「今日はごちそうさま!久しぶりの天姫のお料理、美味しかったよ」


『ふふっ!褒めてももう何も出ないよ?』


「出されても食えねぇって・・・でもマジで美味かったぜ?」


『ありがとうございます!気をつけて帰って下さいね』


「ああ、のんびり帰るよ。な?」


「うん」



親友の林檎と、その婚約者である奈良さんが顔を見合わせて微笑む姿を見ると、未だに嬉しくて仕方ない。



生涯連れ添うと決めた二人をキバのマンションに呼んで、軽い食事会のような物を催し手料理を振舞って。



美味しいと全てたいらげてくれた皆の笑顔に、私の頬も緩みっぱなしになっていた。



「天姫―、これ持ってってもらうんじゃねぇの?」


『あっ!そうだった!忘れてた!』


「はい、林檎ちゃん。お土産!」


「お土産?」


『そう、林檎のお気に入り』



そう告げただけで中身が分かったらしく、ぱあっと笑顔になった。



小さなケーキ箱には、甘さを抑えた抹茶のドルチェ・・・・・密かに教えられた事へのお祝いの気持ちを込めて作り、メッセージを添えてある。



『家に帰ってから開けてね?』


「ありがとう!ふふっ楽しみ・・・」


「じゃあ、帰るわ。キバもありがとさん」


「いいって―の。じゃ、月曜にな!」



おやすみ、と言った後、二人は寄り添って帰って行った。









『もう少し食器が必要だね―』


「今までオレ一人だったからなぁ、かき集めて何とか間に合ったって感じ?」


『うん。4人以上になったら足りないよ』


「少しずつ揃えて行けばいいさ・・・・・それより、林檎ちゃんもシカマルも幸せ―って顔してたな―」



使った食器をキッチンへと運びながら、何だか雲行きが怪しくなってきた。



あえて口を挟まないでいると、キバの呟きが予想通りの方向に向かい始める。



「やっぱさ―、一緒に居る時間が長いのっていいよな―」



あぁ、もう・・・やっぱりそこに話を持ってくのね・・・・・。



洗い物をしながら気付かれないように溜め息をひとつ。



『そりゃね、林檎と奈良さんは勤め先も一緒だもん』


「そ―じゃなくてさ、朝も夜もってこと」


『・・・・・・・・・・っきゃ!?』



反応すれば絶対甘えた声で“お泊りして”って言われるに決まってるから黙っていたのに、背後から抱きつかれてそれどころじゃない状況になってしまった。



『ちょ、ちょっと、キバ!?』


「天姫がさ―、ちゃんと決まるまではって言うから、我慢してっけどさ―」



口調は拗ねた子供みたいに可愛いのに、それを発する唇は耳朶に触れていて―――ざわりと肌が粟立つ。



『あっ!や、キバっ』



料理をする時、長い髪をクリップで纏めてアップにしているせいで露わになっているうなじへと舌を這わせながら、大きな手が身体を弄り始めた。



『ん・・・まだ、後片付け・・・・・』


「明日の朝でいいじゃん?泊まってけよ・・・っつ―か、帰さねぇ」



雄の色を含ませた声で囁かれ、抗う気力が全て削がれてしまう。





―――――降参。











長いカフェエプロンを外して左手をシャツの裾からするりと忍び込ませ、そのまま上方へと滑らせてゆく。



ブラの上から包むように乳房を掌で覆い、やわやわと刺激を加えると布越しでも蕾が尖っていくのが分かる。



『ぁ・・・・・』



ぴくんと身体が揺れたのを合図に右手をおとがいへ沿わせると、林檎の顔をこっちに向かせた。



既に悦楽を味わい始めたその瞳は潤み、目尻が紅潮してて―――すんげぇヤラしく見える。



「ソソラレるぜ」



酒、飲みすぎたかな・・・?



そんなことが頭を過っても、もう止めようがなくなっちまって本能のままに唇を合わせ、舌を捻じ込む。



『んっふ・・・ぅん』



繋がった口だけで顔の向きを固定してるせいで、ちょっと苦しそうな息を吐いたけど、絡めた舌への反応は良いものだった。



深いキスへと意識が集中したのを見計らい、ブラを押し上げてふくよかな胸へと直接触れる。



ピンと立った先端を掠めるように乳房を掬い上げると、突然の刺激に逃げようとしたのか身体を捩られ、必然的に密着した部分へと擦り付けられる形に。



「うっ・・・・・」



完全に硬くなっていたオレ自身への圧力はかなりのインパクトで、思わず声が漏れるとその動きは更に強まった。





天姫、態とやってんだろ?







お返しだと言わんばかりにスカートの中へと手を突っ込み、下着の上から秘部をなぞれば・・・そこはもう湿り気を帯びていて。



ボタンを押すように花芽を軽く突くと、唇を合わせたままいやいやをするように首を振る。



興奮と不自由な呼吸のせいでさすがに息苦しくなり、嬲り続けた舌を解放すると大きく息を吸った。



『はあっ!はぁっ・・・はぁっ・・・・・ここ、じゃ、いや』



上と下、両方の突起を弄られて、天姫の膝がガクガクと震える。



このまんまここで最後までしちまうのもいいんだけどなぁなんて考えていたら、泣きそうな声で訴えかけられた。



『キバっ・・・・・お願い・・・もう、立ってられないっ』





―――――お願い、なんて言われちまったら・・・堪んねぇだろ―!?





「ん、分かった・・・・・」



半分以上力の抜けた身体を抱え上げてベッドへ行こうとした時、ある物が目に入って―――オレは考えを変えた。



『キバ!?』


「最初はこっち。後でベッド行こうぜ」


『なっ・・・・・やだっ!なんでソファで・・・んんっ!』



真っ赤な顔をした天姫を無視して素早くTシャツを脱ぎ、まだ続きそうな抗議の言葉をキスで奪い取った。



オレが下ろした場所・・・ソファの上で抵抗するように肩を押し上げてくるけど、シャツを開いて先端を擦れば大人しくなっちまう。



『ふ、ぅんっ!』



まだそんなにシテねぇけど、ここが弱いってオレは見抜いてんだぜ?



背中のホックを外してシャツと共に脱がせ、上半身を曝けさせると完全に抵抗の素振りは無くなった。



唇を離しても小さな喘ぎしか漏れてこねぇ・・・もっと啼かせて―よなぁ。



首筋から鎖骨をなぞり、胸元へと紅い華を散らしながらスカートと下着も剥ぎ取って、しなやかでメリハリのある裸体をまさぐりながら足の間へと身体を滑り込ませる。



『あ、あっ・・・んっ・・・・・』



キッチンで散々玩んだ真紅の蕾を口に含み、尖った部分を態と避けながら周囲だけに舌を這わすと頭をぎゅっと抱きしめられた。



甘く芳しい香りの立ち上る秘所は、ソファに浅く腰かけさせたせいで触れ易い所にあって。



2本の指をあっさりと挿し込むことが出来た。



『はぁっ・・・』



前のめりでしがみつくように閉じ込められた腕から抜いた頭を、しっとりとした肌を味わいつつ繊細な部分へ持っていく。



勿論その合間に“オレのモン”ってシルシを沢山落とすのを忘れたりなんてしねぇ。



「足、あげて」



草原を思わせる小高い丘越しに見上げながら囁くと、ふわふわと茂みが揺れた。



『ん、やっ・・・・・恥ずかしいっ』


「オレしかいねぇもん、平気だろ?」


『そんなこと・・・関係なっあっ!』


「いいから、ほら」



空いてる手で足首を掴んで持ち上げれば、反対側の足もソファの上に移動して・・・素直じゃん、と思ったら膝がぴったりと閉じられちまった。



「んなことしたらダメだって・・・・・ちゃ―んと天姫の顔、見えるようにしてて?」



白い腿を割り開かせ、内側にきつく吸い跡をつけながら再び見上げると、羞恥と欲情に彩られた瞳は潤みまくってる。



その表情にオレの興奮度もマックスまで急上昇―――けど、まだまだ夜は始まったばっかだからな。



視線を逸らさずに尖らせた舌でぺろりと花芯をひと舐めしただけで、挿れたままの指がきゅうっと締め付けられた。



反応に気を良くして更に舐めながら指先を折り曲げ、蜜を掻き出すように動かす。



『は、あっ・・・・はぁっ・・・・・んっ・・・ああっ!』



くちゅくちゅと言う水音と天姫の口から零れる熱の籠った甘い声、それとオレの荒い息づかいだけが絶え間なく室内に響き渡る。



思う存分乱れさせている隙に窮屈なジーンズとパンツを脱ぎ捨て、一つに繋がろうとした時、またオレの中の意地悪な心が顔を覗かせた。





引き抜いた指に纏わりつく水分を舐め取り、ぐったりとした天姫へと圧し掛かりながら問いかける。



「欲しい?」


『はぁ・・・・はぁ・・・・・んっ』



猛りきった自身の先端をくぼみに押し当て、少しだけ前進して入るか入らないかの位置を維持。



「なぁ、天姫・・・欲しい?」



真正面から覗き込んだ顔は、欲しくて堪らねぇって言ってんのに・・・・・。



『な、んでっ?』


「ん―?」


『今日のキバっ・・・ヘンっ』


「変か?そりゃ、たぶん・・・・・天姫のせいだな」


『どうして、私のっ・・・せいなの?・・・あぁっ!』



ぐ・・・と、ほんのちょっと前進してまた刺激を加えると、切なげな瞳で見返してくる。



「天姫のこと好き過ぎて、おかしくなっちまったのかも知んねぇから、さ。なあ、欲しいだろ?」



ん?と首をかしげて聞いたら、か細い声で“欲しいの”と天姫はやっと呟いた。



「いい子だ・・・・・じゃあ、自分で挿れて?」


『えっ!?』



ぎょっとして離そうとした身体を抱きかかえて180度転回し、上下を入れ替える。



とりあえず腿の上に座らせて、いつもとは違う高い位置にある唇をそっと啄ばむと、泣きそうな顔して睨んできて。



『いじわる・・・』


「偶にはいいだろ、こんなオレも?」



そう囁いたら、髪に指を梳き入れながらバカと言われちまった。





腰に手を添えると、逆らわずに浮かせた身体を開いて受け入れの体勢を取る。


『ん・・・・・ぁ、は・・・ぅっ』



動きを促したりしなくても自ら腰を沈め、ゆっくりと天姫はオレを飲み込んだ。



限界まで張り詰めた自身が熱い襞に包み込まれると、気持ちよさに全身がぶるりと震える。



「あぁっ!!堪んねぇっ!」


『・・・・・ふ、ぁっ・・・んんっ』



オレの腹に手をつき、快感を堪えるように眉を顰めてじっとしているようだけど、身体は正直―――内壁はヒクついて次の刺激を待ち受けていて。





けど、今日はトコトン意地悪くなってっから・・・普段ならする筈の動きもしてやんない。





「天姫」


『んっ・・・・・?』







「動いて?」






発した言葉に俯いてた顔がパッと上がり、信じられないと言った表情でオレを見つめた。





『ど・・・して・・・・・?』





この時のオレはどれだけ嫌なヤツだったんだろう?



天姫の顔が悲しげに歪んだかと思うと、みるみるうちに涙が盛り上がってきて・・・あ、やべぇっ!!



『うっ・・・く・・・・・』



うわわわっ!!泣かしちまった―っ!!



「ああっ、嘘ウソ!!ごめん!」



背もたれに寄りかかっていた身体を起こし、慌てて抱き寄せた。



『ふ・・・ぇぇ・・・・・・ん』


「悪ノリし過ぎた・・・ごめんな、ごめん・・・泣かないで」


『キバのばかぁっ』


「ほんと、オレってバカ!どうしようもねぇバカ!マジでごめんなさいっ!!」



泣きじゃくり、バカバカと言い続ける天姫を抱きしめて頭を撫でながら、ごめんと泣かないでを繰り返す。



「もう、しねぇから・・・」


『ふっく・・・ま、また、あんな、こと言ったらっ許さないんだからっ』


「もう言わない!だから・・・泣き止んでくれよ・・・・・」



ぼろぼろと零れる雫を拭い、それでも涙の滲む目元へ口づけると、普段の気の強さが復活したらしく、キッと睨みつけられた。



『・・・・・泣かせたのは誰なのよぉ?』


「オレでした・・・ゴメンナサイ」


『反省してる?』


「反省してます・・・だから許して?」



確信犯だけど、しょげた所を見せた後に上目遣いでお許しをお強請りしてみる。



『っ!!・・・・・今回だけだからね?』


「もう言わねぇって―――だからさ」


『だから?』


「続き、シよ?」



そう言ってにんまりと笑った後、反論が来る前に急いで唇を塞いだ。



『んんっ!?』



抗う暇を与えないように舌を滑り込ませ、ねっとりと絡ませつつ・・・繋がったままだった身体をほんの少しだけ突き上げて様子を見る。



『ふぅんっっっ!!』



触れるか触れないかの距離に離した胸板で先端を掠め、刺激を加えながら動きを強くすれば、仰け反った背中がビクンと跳ねた。





ソファのスプリングがぎしぎしと軋む音に合わせて聞こえる嬌声が、更にオレを煽り立てて―――。



『・・・ん、んっはぁっ・・・・・』



これだけでもかなりの締め付けで限界は近付いてきてたけど、貪欲さは鳴りを潜めたりしなかった。



「天姫っ・・・・・は・・・っ向き、変えんぞ・・・っ!」


『んぅっ!?』



背中から手を伸ばすと肩を掴んだ手に力を込め、同時に身体を浮かして先刻みてぇに上下を入れ替えたら・・・・・。



今までにねぇくらい深いとこまで入り込んじまって、凄まじい快感が下っ腹から脳天まで突き抜けた。



『ああああっ!!』


「く、あぁっ!」



身震いをしながら天姫の肩口に顔を埋めて、イキそうになるのを必死に堪える。



「はぁっ!はぁっ!はぁっ!」





まだ・・・まだだ・・・・・もっともっとお前が欲しい。





そして、お前にもオレを欲してもらいてぇ!





懸命にしがみついている身体が粉々になるくらいの力で奥へ奥へと突き進んでいくと、振り絞ったような叫び声が響いた。



『いやぁっ!!キバっ!あ、あ、あ!そんっ・・・激しっ・・・・・あぅっんっ!』


「はぁっ、はあっ、ごめ、んなっ!天姫っ!っく、るしい、かっ?」



頭の隅では心配をしてても、それよりも大きな欲望が脳内を占めていて・・・身体が言うことを聞かない。



まるで発情期みてぇに、ただひたすら気持ちよさだけを追い求めて。



『ん、は、っ!も・・・だ、め・・・ん、ん、キ、バっ!キバっ!』


「オレ、も、ヤベっ!はっ・・・はっ!」



千切られそうな程の強い締め付けと痙攣のような震えに耐えられない―――限界だ。



『もぉ、イ、クっ・・・・・っっっキバぁっ!』


「っ!く、はっ・・・天姫っ!!」



どれだけ強く突き上げても受け止めてくれた天姫の一番深い所へ、最高に熱いものを注ぎながら、ぶるぶると震える身体で倒れ込んだ。







『・・・・・はぁっ、はぁっ・・・キバ・・・・・っはぁっ』


「はっ・・・はっ・・・ん・・・な、に?」



汗まみれで重なり合ったまま、荒い息で呼びかけられて顔を覗き込むと不意打ちのキス。



潤んだ瞳に少しだけ拗ねた色を浮かべつつも、次に言われる言葉が分かって・・・声を揃えるようにオレも囁いた。





『「・・・愛してる」』





そして再び重ねた唇の間から零れるのは、熱い吐息。







―――そう、夜は・・・まだ始まったばかり。









(でも、意地悪なキバは嫌いっ!)


(もうしませ―んっ!)









End.

-アトガキ-
【mon amour,nara】mims様より、連載『色付く世界』キャラ設定をお借りして書いたキバ夢でした!!
元々は当サイトが1万打突破した際にお祝いを、と言って下さったのですが、みむちゃんの忙しい状況につけ込んで「キャラ設定貸してーvv」とお強請りしてしまいました(汗)
勿論ちゃんと許可は頂いた上で書いてますので!(誰にイイワケしてるのだ、私?汗)

かなりエロくて意地悪なのに、最後の最後にはやっぱりヒロインに頭の上がらないキバでしたが・・・いかがでしたでしょうか(笑)
どうにもこーゆータイプで居て欲しいと思う管理人でございますorz


2008.6.27 by.amaki



天姫さまより頂いた、連載のスピンオフ作品です。

6月に書いて下さったのに、私がなかなか本編を進められなかったせいで、半年以上経ってからのUPになってしまいました(汗)
お読み頂いた感想は是非、天姫さまへ直接お伝えくださいませ。
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