いい加減にしろっての
世の中って間違ってると思うことはしばしばあるけれど、今夜は相当腹に据えかねていた。
「だってね、時間足りないし。なんかもっといい方法があると思うんだよね」
無駄が多いって言うか同じこと何回も繰り返して意味ない気がして仕方ないっていうか乙女盛りの今しかない大事な時間はこんなことのためにあるべきじゃないぞって…――
そこまで言葉を続けてシカマルの方を見ればiPodのイヤホンを片方だけ外した姿でそっぽを向いている。全く興味ありませんのポーズ。
「………」
「聞いてる、シカマル?」
「ああ」
嘘つき、全然聞いてなかったくせに。涼しい顔をちょっとだけ睨んで無造作に投げだされた手の甲をきゅっと摘む。
「私よりずっと頭いいんだから、シカマル何か打開策考えてよね」
「面倒くせえ」
「ひど……シカだってこの現状はおかしいって思うでしょ?客観的に見て無駄だらけだって」
手の甲を摘んでいた指を面倒臭そうに剥がす指先は、まるで女の子のようにきれいだ。呆気なく手をとられれば肩に入っていた力が少しだけ抜ける。
「世の中の発明ってのは大抵面倒臭がりが生み出してるって、知ってるか?」
「………知らない」
「じゃあ知れ」
それが答えだ。そう告げてシカマルは外していたイヤホンを耳に戻すから、無駄に声を張り上げる。疲れてるのに余計疲れることさせないでよねと思ったら、ますます顔が歪んで。シワが増えたらシカマルのせいだからね、って理不尽なことを考える自分に苛々する。でもだいたい彼は言葉が少な過ぎる。理解できるように説明するのは話者の義務なのに、一人で納得して放置するなんてずるい。
「どういうこと?全然わかんないんだけど。馬鹿にでもわかるように言葉で説明してくださ……!」
もっと言い募ってやろうと思った途端きれいな指先が伸びてきて、まっすぐな視線が私を捉えて。
「ばーか。ったく…」
眉間をピシリと弾かれたら、もやもやしてたことなんかすべてどうでもよくなった。
いい加減にしろっての眉間のシワ 不細工なんすけど(せっかくの可愛い顔が台なし)。- - - - - -
2010.10.27
結局はちょっと甘えたかっただけ。
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