これでも、一応

「ちょっとね、入院することになって」

「・・・あ?なに、お前、どっかわりーの?」

「ううん、たいしたことないの。すぐ退院できるから心配しないで」

「・・・お、おう」

そっけない返事をして、俺は将棋盤に視線を戻す。


でも実際は、将棋盤も駒も目には入ってねえ。
いきなり聞かされたこの寝耳に水ともいえる情報に、俺は正直慌ててる。



随分と華奢な体だし、もともと丈夫じゃねえのは知ってたが、入院だ?
おいおい。ちょっと待てよ。
そんな素振り見せなかったじゃねえか。
入院沙汰って、そんなに悪いのか?
まさか手術とかすんのか?
何でこんなギリギリまで黙ってたんだよ。




「シカマル?」

気が付けば、なまえが真横で俺の顔を覗き込んでた。
お前がそんなに心配そうな顔してどうすんだ。

「・・・」

「怒ってるの?」

───今、そんな顔してんのか、俺は。

「・・・もしかして・・・。心配してくれてるの?」

───ガラじゃねえけどな。





「シカマル」



「・・・なんだよ」



「だいすき」



「なっ・・・」

不意打ちをまともに食らった俺は、思わず顔を上げちまった。
隣でやたら嬉しそうにしてるなまえと目が合う。



・・・ったく。勝てねえなあ、おまえには。

でかいため息を吐いて、俺はまた将棋盤の駒を動かし始める。




「・・・木の葉病院だろ」

「え?あ・・・うん、そう」

「1回くらいは行ってやるよ」

「うん」

俺は今、下向いて駒いじってっからお前の顔見えねぇけど。
おそらく、相変わらず嬉しそうに笑ってんだろうな。
普通、1回しか見舞いに来ねえのかって怒るとこだぜ、それ。
どーもお前は少しズレてるんだよな。

それとも、俺の性格を見切ってて、
1回でも来れば上等だとか思ってんのかもしれねえな。

それはそれで、なんか腑に落ちねえ話しだよな、まったく。



隣に座る俺に、もたれかかるように座っているなまえ。
こいつが、俺の傍から少しの間いなくなる。

べつに、今生の別れって言うわけでもねえのに。
ちょっとばかり寂しいと思う気持ちと、大丈夫なのかと不安に思う気持ちが混ざって、
なんか、居た堪れねえぜ。



病状がどうだとか、退院はいつになるのかとか。
もうなんか、いろいろ考えるのがめんどくせえ。

だから、なあ、なまえ。



そんなもん早く治しちまって、さっさと帰って来い。

・・・・・・これでも一応、心配してんだからよ。



2008.3.09 up
最後までお付き合い頂き、ありがとうございますm(__)m
私にしては珍しく、シカ視点で書いちゃってみました。
ずっとお世話になっている方が入院されるそうなのです。
お見舞い夢的なものを勝手に(!)書きました、ごめんなさい!

ゆっくり治して下さいね。復活されるのをお待ちしていますから〜〜。


[coffin]のりんねさまより頂いた入院お見舞い夢でしたー。
くはーっ、りんねさん泣かせる(涙)
こんな風にシカマルに心配されちゃったら、慌てて出てきたくなる〜!
病院抜け出しちゃいそうです(>_<)
本当に愛のこもったプレゼント、ありがとうございました。
2008.03.10 mims
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