背中 - 闇夜

 * 背中 - 闇夜 〜Kankuro

 

「・・・ん」

ふと、目が覚めた。

まだ部屋は暗い、ということは真夜中、か。

 
横を見遣ると、私に背を向けて寝る愛しい人の姿。

 
闇に紛れて、ぼんやりとシーツの波に浮かび上がるその背中は、意外にも筋肉質で。

普段、真っ黒な装束に隠されているから目立たないけれど、彼の体はとても美しく整っているのだ。

 

―――綺麗な、背中・・・

そんな逞しい体にひきかえ、繊細な指先はいつもひらりと舞い、私を翻弄する。

 
「・・・・・・っ」

先程までの行為を思わず思い出してしまい、一人赤面してしまう。

 
「・・・カンクロウ?」
呼びかけても、返事が無い。

よほど、深く眠っているのだろう。

 

―――少し位、いいよね・・・?

そっと、綺麗な背中に手を伸ばして、指先でつつ、と触れてみる。

 

ごつごつとした骨と筋肉の感触。でも、指先から伝わる肌は滑らかで。

 
やっぱり、この人は、すごく綺麗だ。

 

ふ、と微笑んだとき。

 
「・・・なまえ」
「っ!」

自分の名前を呼ばれてどきりとした。
思わず手を引っ込めたが、次に聞こえてきたのは、すーすーとした寝息。

 

「なーんだ・・・」
ひとりごちて、再び背中に手を添える。

 

ずーっと、このままでいたいなぁ

忍びである彼を相手に、我侭だとは分かっているけれど。
でも、どうしても闇に彼を引きずり込まれたくなくて。

 

繋ぎとめるように、彼の背中に頬を寄せた。
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