背中 - 傷痕
* 背中 - 傷痕 〜Gai
「あ・・・」
腕を負傷したガイの代わりに、お風呂上りの彼の髪の毛をわしゃわしゃと拭いているときに気付いた。
小さい、目に見えないほど小さい、沢山の傷を背負った背中。
「ん?どうした、なまえ」
「・・・えっ、あ、ううん」
なんでもない、と小さく答えて、また手を動かし始める。
綺麗な髪の毛が、さらさらとタオルの間から落ちていく。
「今日の任務も中々しんどい内容だったんだがなぁ」
「うん」
「でも、リー達が頑張ってな!あっという間さ」
ははは、と明るく笑う彼に、私も微笑む。
ね、ガイ。
あなたのその背中の傷。
その数は、あなたがが背負っている悲しみの数とおんなじ。
なのに。
「あいつらも少し負傷したが、なぁに、俺の教え子達だ。すぐに良くなる!」
そんな事を微塵も感じさせない、その笑顔に、私は。どれだけ救われたことだろう。
「俺も、早くこんな怪我治さないとな・・・!」
そう言って、少し弱々しく微笑むガイ。
その顔に、ぐ、と何かが込み上げて来て。
思わず、彼の頭をそのままやんわりと抱きしめた。
「・・・なまえ・・・」
「・・・明日、一緒にお見舞いしに行こうね」
ちゅ、と髪の毛にひとつキスを落として、ゆっくりと微笑む。
「ああ。・・・そうだな」
少し俯いたガイの頭を、もう一度、抱きしめた。