背中 - 熱帯魚
* 背中 - 熱帯魚 〜Shikamaru Nara
彼の背中は、とてもしなやかだ。
細い、けれどもきちんと筋肉のついた、とても綺麗な体。
ほら。
気だるそうに髪をかきあげる、その仕草だけでも、流れるように動く筋肉に瞳を奪われてしまう。
あんなに、綺麗・・・
「・・・なまえ、どうした?」
ぼーっとして、と振り向いたシカマルに言われ、はっとする。
―――やだ。私ったら。
シカマルの背中に見惚れていた、だなんて。
絶対に言えない。
「な、何でもない・・・」
「・・・ふーん」
ならいいけどよ、とにやりと笑うシカマル。
きっと。
色んなことに鋭い彼なら、気づいているんだろうな。
細められた目元を見て、そう思った。
「・・・なまえ」
再び名前を呼ばれて、ああ、またあらぬ事を考えていた、と近づく顔を見上げると。
「・・・っ」
名前を呼び返すことも出来ないほど、濡れた、甘い瞳があった。
―――息を呑む、って。こういう事を言うんだろうな
「・・・今日のなまえ、心ここにあらず、だな」
くすりと笑って、私の肩口に顎を乗せてくしゃりと髪の毛に手を差し入れる。
「っ・・・シカ・・・」
なまえ、ともう一度。
掠れた声で囁かれて、覆いかぶさる彼の背中に、そっと指を這わせた。