non title

だから嫌だったのに。

「はぁ・・・。」

今更そんなことを言っても仕方ないのだがついつい溜息が出てしまう。
先輩の顔、声、手・・・どれも素敵過ぎる。
素敵な部分は沢山あれど、どれ一つとしてあたしに得られるものは無くて・・・。
折角のこんなチャンスも却って身体に毒だ。

「おい、しっかりやれよ。」

「ぁーい。」

「やる気のねぇ返事だな。」

しょうがないじゃないか、やる気がないんだから。

「すいませんねー。あたし、普段からこうなんです。」

「嘘つきやがれ。」

「嘘なんか・・・。」

「嘘じゃねぇか。普段のお前はもっと・・・。」

「え?普段って何です?今日初めてでしたよね?先輩と組むの。」

あれ?おかしいな。何か一緒になったことあったかな?
って、あるわけないし。
あったら忘れるはずがない。
とか言って、あったらかなり失礼なこと言っちゃったことになるけど。

「あんま聞きたくねぇけどよ・・・、お前・・・俺のこと嫌いか?」

突然おかしなことを言い出すからふき出しそうになってしまったけど、チラっと見た先にやけに真面目な表情を捉えてしまって、あたしは思わず息を呑んで顔を伏せてしまった。

「どうなんだよ?」

「あ、あ、あ、あたしの質問に答えてないですよ。」

「はぁ・・・。」

あたしは文句を言うために勢い良く顔をあげる。

「先輩!ため息って・・・」

「見てたよ。ずっと。」



あたしとしたことがすごく真剣な眼差しで見詰められて動けなくなってしまった。
困った。
あっさり答えられてしまったら、あたしも答えなくてはならない。
嫌いかと聞かれて何と答えたらいいの。
何とか先延ばしにしたい。

「見てたって、何で見てたんです?」

「俺の質問に答えてねぇ。」

作戦失敗。

「え、え〜っと、質問なんでしたっけ?」

「忘れるとはいい度胸してんなぁ。しょうがねぇからもう一度言ってやろーか。」

先輩はそういってあたしの頬を両手で包んだ。
どうしよう。
こんなに恥ずかしいことってないぞ。


「なぁ、俺のこと・・・好きって言えよ。」



・・・あの、これってもう質問じゃないんですけど。



fin
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2010.11.18
ずいぶん前に頂いていたのに飾るのが遅くなってしまいましたが、ウキさんより三周年祝いに頂戴したシカマル夢です。ちょっと意地悪な彼がドストライクで心拍数が大変なことに…このオチだいすき!ごちそうさまでした。これからもどうぞ宜しくお願いします! mims
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