ココアと季節がオレを狂わせた

「ふ…あぁ〜……」





時間はPM17:00



仕事も休みで特にする事もねぇオレは、雲を見たい気持ちもあったが寒い外に出られそうにないので、コタツに潜り寝ようと目を閉じた





―――瞬間……







ガチャッ




「シーカマルー。いますかー」


「……おー…って、入ってきてから言うなよな」





ベルもノックもせずに勝手に入ってきたのは……ガキの頃から学校も一緒で二十年ツレている幼馴染のなまえ……



何の前触れもなく突然現れるのは今に始まったことではなく、オレは特に気にもせずコタツから出てなまえを中へと入れる






「寒いよ寒いよーー…コタツつけてくれてる?」


「あぁ……ってかお前ン家じゃねぇーよ」


「あ、お茶煎れるね」


「悪ィーな……ってだからお前ン家じゃねぇーって」




オレの言う事も全無視して台所に歩いて行くなまえの背中を見つめ、軽く溜め息をついて居間に戻る





「っさびィー……」




ちょっとコタツから出ただけなのに一気に冷えた体を擦りながらコタツに入り、チャンネルを変えた





「日曜だもんな……何もしてねぇー…」


「悪いけど、アタシ日曜の五時半は笑点って決まってるの。ハイ、お茶」





背後からお茶を出し、なまえはオレの斜め前に腰を下ろす




「サンキュ。……笑点ねぇ…、司会者が圓楽師匠じゃねぇーからオレはイマイチだな」


「わかるわー。やっぱり圓楽師匠が一番だよね。癒されるよね」





なんて二十歳の男女のする会話とは思えない話しをしながら、なまえが煎れてくれたお茶に手を伸ばす


……と、普段見ないコップが目に止まった





「あ?お前何飲んでんだ?」


「何ってココア。急に飲みたくなってねー、このコップと一緒に売ってたから買ってきた」





いつもは一緒の熱いお茶を飲むのに、手元にあるのは無地の大き目のマグカップ




「よく飲めんな……そんな甘ったりーモン…」


「甘いのがいいのだよ。飲む?」


「無理」


「チッ…」





何故か舌打ちをしてココア一口飲み、「やっぱりうまかァー…」と満足そうに息をつくと


暖房の利いた部屋の中には一気にココアの匂いが充満した





「………………。」


「……………。」







………?




ちょっと待て、いつもと何か違う……






『あぁーダメ今の。山田君一枚持って行きなさい』


『えぇー!!』






テレビでは笑点が賑やかにやっている


いつもこれを見ながら大声出して笑うなまえが、今はただ無表情に見つめるだけ……





「……………。」


「……………」





なんだ……?くだらねぇー話しばっかして、疲れて勝手に寝るのがオチだってのに…なんで何にも喋らねぇーんだよ?



言葉には言い難いがいつもと違った雰囲気に、「何かあったのか?」と声を掛けると





「え?別になにもないよ?」


「……ふーん…ならいいんだけどよ…」


「シャレ?今のシャレ?奈良さんが『なら』なんて」


「うっせェー黙ってろ」





ニヤニヤと笑いながらおふくろから貰ったみかんに手を伸ばすいつも通りのなまえに、『気にしすぎか…』と茶を一口飲む






「……ってかよ、ココア飲みながらみかんって普通ねぇーだろ」


「意外とうまいのよ。このミスマッチ具合が」


「オエッ……」


「えずいた?今人がうまいって食べてるモン見てえずいた?ムカツクわー。熱いお茶飲みながらシュークリームでも食べてろ!!」


「なんでだよ……」








「…………ねぇ」


「……あぁ?」




笑点も終わり、テレビから目を放さないなまえに眠気もピークになってきたオレは、寝転んで腕を枕にし、寝る体勢に入る




「…もう寝そう?」


「…あぁ……やべぇー…な…もってかれる……」





「じゃァ……、シカマルの会社にいる女の人……




テマリって人と付き合ってるってホントなの?」





「…………」






ハァ…?





「お前何言ってんだ…?」


「あ、起きちゃう?」





突然のなまえの言葉に眉を寄せて体を起こすと、なまえが少し驚いた顔をしてみかんを剥いていた手を止める


そりゃ目も覚めるっつーの。


コイツはいきなり何を言い出すんだ……



眠気も飛ばされ若干機嫌を悪くしたオレは、テーブルに片肘をついてなまえを見つめる





「何でテマリが出てくんだよ…。ってか誰に吹き込まれた」


「キバ。プライベートに何回もご飯行ってるの見たって言ってたよ?」


「確かに飯は行ったけど、仕事での事に決まってんだろ…。」


「じゃァ付き合ってないの?」


「あぁ……」




真っ直ぐ目を合わせて会話をする


と、なまえがいきなり力尽きたように倒れ「なーんだ」と笑った





「………寝る気か?オレを起こしといて寝る気かお前」


「んんー…ふふふ……剥いたみかんあげるから許して」


「いらねぇーよ、カピカピに乾いてんじゃねーか。……起きろバカ」





そうこう話している内に段々となまえの目は閉じていって、



何となく『この場』の雰囲気を察したオレは



―――決意をする…。





十年以上隠してきた……






「……来た時からお前の様子がおかしかったのは…、今の話しのせいか?」


「んんー…眠いー……」


「………寝んなよ」


「うんー……」




もう半分寝ているなまえの髪を掴み、少し引っ張る


寝られちゃ困んだよ……







―――この想い……





「いたたた……」





「なァ……






オレ達…、そろそろ付き合っちまうか?」




「…………」






テレビの騒音も、今は耳に入ってこない


規則正しく上下に揺れていたなまえの肩は完全に固まって、起きている事を示す




――と、仰向けになり片目を開いたなまえと目が合った





「………付き合うかなんて…随分自信あんのね」


「まーな。二十年一緒にいんだ、お前の事なんざ何でもわかんだよ……。それに、さっきの質問とお前の行動でもう決定してんだろ」


「……………」


「おいおいおいおい。……っ!」





最悪、『まだこのままでいたい』なんて言われたらどうしようか……なんて思ったが、


隠れるようにコタツに潜ったコイツの行動が、ソレを否定した





「…………」


「おい…。オレの手握ってねーで、ちゃんと出て来い」


「イヤだ。恥ずかしくて死ぬ……」





きっとコイツの顔…、真っ赤になってんだろーな……





「ほー……じゃァいつまでそうしてられっかな」





そう言ってニヤリと笑い、オレはコタツの温度設定を『強』にした。









ココア季節オレを狂わせた 






冬は寒いってだけで人肌を恋しくさせるモンで、


それにココアなんて女を意識させるようなモン飲むなまえが悪ィーんだぜ……








「……熱い…死ぬ死ぬ死ぬ」


「なら早く出て来いよ」




とりあえずコタツから出てきたら、なまえのその真っ赤なツラ見て腹抱えて笑ってやるからよ……甘いのはその後だ……。

コタツの中は、手を握ったまま。














―後書き―


『mon amour』のmimsさまに捧げます!!(と言う名の押し付け)



みっちゃん!!サイト一周年、30万打突破おめでとうございます!!!!(*≧∀≦*)vv
もうみっちゃんのシカマルには何度腰を抜かされた事か……(**´`)ポ
本気で色っぽくて男前過ぎます!!!!(落ち着いて)


このお話しは、友達が『男はココアを飲んでいる女に弱い』と言った事から始まりました!!(ホントかどうかわかりませんが…(;´∀`)アセアセ

ホントはもうちょっと早くにお届けできる予定だったのに、こんなに遅れてすいません(/□T)
こんなヘボ夢ですが、大好きなみっちゃんに心からの愛を込めてvv
あ、もちろん捨てて置いてもかまいませんので!!


これからも、みっちゃんのペースで無理せず頑張って下さい!!☆
ワタシ、みっちゃんにひたすら愛を送っています!!(ヤメテ)

ずっとずっと応援していまァす!!!!ヾ(≧∇≦)〃vvv☆☆




お持ち帰りはmimsさまのみとさせて頂きます。



[現実逃避しちゃったり]サキさまに頂いた、1周年祝いのシカマル夢でした。

さ、ささ、さサキちゃん!!
さんざん叫んだけど、全然叫び足りないよ〜〜!!シカマル―――好きだ―――!!!!!

ぐはっ、やられた!!マジでノックアウト状態ですよっ。
もうもう、途中からニヤける口元を押さえるのに必死で。

ココア飲んだら、シカマルにこんな風に手を出して貰えるのか?
じゃあ、今日は帰宅途中にココア買って帰ろう!!なんて、バカな決意をしました(笑)

本当に本当に、素敵過ぎるシカマルをありがと!!
大事に飾らせて頂きました。
これからも繰り返し愛でちゃうからね、シカマル!!
サキちゃん、めちゃめちゃ愛してるよ―――!!
20081123 mims
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