眠り姫
多分アノコは誰よりも意地っ張りでサディスティックだ(と言ってもあまり面には出ていない)。
そのクセ、人一倍努力するし小さな事にも気がきく。
ふんわりとした雰囲気を纏っているから、あまり人に気付かれる事もなければひどい時には(酷いとは違う)単に優しい人で済まされてしまう。
本人はそれを気にしていない上に、努力を努力と思っておらず、尚且つ自分がふんわりとした雰囲気を出していることすら気付いていない(と、いうか認めてくれない)。
ただ、サデイスティックな部分があることは知っているらしい(たまにイジられるし)。
「ザキー」
あぁ、いくらアノコの事を考えているからって幻聴まで聴こえてくるとは……。俺、そろそろ精神科に行くべきなんだろうか(最近、沖田隊長のバズーカがやたらと俺に発砲されている)。
「ザーキー」
どうやら本格的に病院へ行く事を検討したほうが良いらしい。猫耳を生やしたなまえちゃんの幻覚までみえるとは。
確かに俺は少なからず彼女に好意を抱いている。
でも『好き』だという想いに至るかどうかはまだ分からない。
分からない、というよりも、最近、あー俺なまえちゃんの事ばかり見てるな。と悟ったのだ(皆は気付いていたみたいだけど、その事にさえ気付けなかったのだから最早悟りだろう。あれ、監察失格…?)。
「ねぇ、ザキったら。」
先程よりも近くで響くクリアな彼女の声に、ゆっくりと顔を上げると、化粧っ気の少ない俺好みの顔。
自分よりも幾分か上にある彼女の顔を見上げて(今更だけど、俺は縁側に座っている)たずねる。
「どうしたの?」
「この猫耳、絶対沖田くんだと思うんだよね。」
「………」
ナイス、ナイスだ沖田隊長!お世辞にも似合ってる訳ではないけど、なんかキュンとくるものがある。
新八君の言う通り、猫耳はヤバイ。
いつもは俺にS的な視線とどこか疲れたような声で話し掛けてくるけれど、なんだか猫耳のお陰でツンデレに見えてくる!
あぁもー…諦めよ。と隣に腰をおろすなまえちゃんは、どこか眠たそうで。
「最近、寝れてないの?」
「……どうして?」
質問を質問で返すあたり、まだ元気のようだ。
彼女は、疲れた時簡潔な答えを述べてすーと消えていく(早く仕事を終わらせたい!みたいに)。
だけど、質問で返されるのは逆にどうしたら良いのか分からないから、苦笑いを向けるしか出来ない。
「んー…そう言われれば眠いかも。」
あれ、なんだか今日は素直だ。いつもは何かしら一発飛んでくるのに(ちょっと楽しみにしてた)。
「何かさ、たまにあるんだよね」
気力が湧かない時が、さ。ゆっくりと小さな呟きだけど、話し始めたなまえちゃん。
これって、俺の事少しは頼ってくれてる。そう思っても良いのかな?
「それに、土方さんの書類多いし。」
まったく。沖田くんはお昼寝してばかりだし…
彼女のことだ。手伝わなくて良いと、副長が言ったって手伝ったんだろうな。
きっと無意識で人を助けてしまう。そんななまえちゃんだからつい、目で追っているんだと思う。
「ちょっと肩貸してね」
「え、うん」
こてん、と彼女の頭が俺の肩に。
え、そういう意味?
もしかしたらとか淡い希望はしたよ、でも本当にこんな感じになるとは。
内心鍋を火にかけっぱなしだった時のような密かながらも結構な焦りを感じていると、何か文句ある?という視線。
「あ、おおやすみ!」
「ありがと、おやすみ。」
フフッと笑った彼女に胸がとくん、と悲鳴をあげる。
なんだかヤバイ。なまえちゃんのものと思われるシャンプーだか香水だか判らないけど甘い匂い。
しっとりとした髪が、緩やかな風に乗って頬に触れる。
……。それよりこの猫耳をどうにかしてくれ。
カチューシャタイプでしょ?嫌なら外しなよ!しかもぴくぴく動いてるーー?!ねぇコレどうなってんの、俺をどうしたいの!!
「あの、なまえちゃん?」
すーすーと寝息が聞こえる。寝るの早くない?うん、疲れてたんだから仕方ないよね。
取り敢えず抱き締めて良いですか?
眠り姫
王子様にキスしてほしいから眠ったフリをする。
50万hitsおめでとうございます!
何故だか山崎。駄文ですが、たっぷりの愛を込めて。
[if you]のsky.ちゃんよりいただいた、50万打祝いのザキ夢でした〜〜\(^o^)/
うわわわ。ザキ何だか久しぶりに触れ合った気がするんだけど、やっぱり彼が好きだ〜〜〜。
ってか、やっぱりツボが被ってるんだよねsky.ちゃんとは!!
ネコ耳ツンデレやばいんですが
ホントに素敵なお祝いをありがとね
2009.03.10 mims