いじっぱり


あいつのことなんて

別に

なんとも

 
 

+ いじっぱり +



 
 
 
任務も無い、穏やかな休日。
好きなだけ寝ていられる、至福のとき・・・が過ごせる筈だった。

―――あいつが、来るまでは。
 
 
「シカマルーっ。・・・ホントだ、まだ寝てる」
いきなり俺の部屋のドアを無遠慮に開けてきた女。
幼馴染のなまえだ。

「あー・・・んだよ。もうちっと寝かせろよ・・・」
たまの休みなんだから・・・
毛布の端を上げて、もそもそと中へ潜り込む俺。

「だめー。もうお昼なんだから」
いくら休みでも、だらだらしすぎ!
毛布をがばっと取り上げて、ほら、と急かされる。
ひんやりとした空気に、一気に頭が覚醒する。

「・・・ったく。折角人がいい気分で寝てたのによー」
頭をがしがしと掻きながら起き上がると、腰に手を当て仁王立ちしたなまえが、呆れた顔で俺を見ていた。

「もう。シカマルってば、こういう所は小さい時のまんまなんだから・・・おばさん困ってたよ、お昼が片付かないわーって」
「へいへい。・・・で、何?」
「ん?」

俺が聞くと、なまえは驚いた顔をした。

「いや、お前。何か用があってきたんじゃねぇの?」
「え・・・別に。私も休みだから、なんとなく」
「なんだそりゃ」

いいじゃんー、と、ぷくりと膨れるなまえを他所に、俺が着ている服に手をかけると、途端に慌てた声で止められた。
「ちょ、シカマルっ!」
「何だよ、さっきからうるせぇな」

あぁ?と見やれば、そこには顔を真っ赤にしたなまえ。
「い、一応、私だって女の子なんだから・・・」
もぞもぞと言う。

「んなこたぁ分かってるよ」
「だ、だからっ。いきなり裸になるとか、やめてよねっ!」

もう!と、ばたばたしながら部屋を出て行った。





「―――賑やかな奴だなぁ」

ふう、と一息ついて、寒さにぶるりと震えた。
 
 
 
―――なまえ。俺の幼馴染だ。

昔っから、あいつはしっかりしてて。よく俺も尻を叩かれてたっけ。

『シカマルは、もうちょっとシャキッとしなさいよね』
と、よく言われたもんだ。
 
 
今も、その時と関係はあまり変わっていない。

あいつは、しっかり者のよく出来た女の子。
俺はといえば、冴えないぐうたら男。

周りがそう思っているように、なまえも俺のことを不甲斐ない、と思っているに違いなかった。
 
 
 
はっきり言って、面白くない。

俺だって、仮にも中忍。
やる時はきっちりやってるワケで。
 
 
―――まぁ、忍でもないあいつに、俺の仕事姿を見せるなんてのは不可能だし。
そこまですんのも、めんどくせーし。

いつまでたっても、"ダメなシカマル" てのは面白くないけど仕方ねぇか。
 
 
「・・・てか、俺・・・そんなになまえに認められてぇのか?」

ワケわかんね・・・
もやもやとした気分が思わず口に出てしまい、ますます変な気分になってしまった。




 
 
「―――で。なんでこうなるんだよ」
「いいじゃない」

あれから、何故かなまえも一緒に家で昼飯を食い、なかば強引に買い物へ付き合わされる破目になってしまった。

「どうせ、暇だったんでしょ?」
「お前なぁ・・・そういう事は、やんわりとオブラートに包んで言えっての」
「包むも何も・・・」
どうにも言いようがないじゃない、と隣でクスクス笑うなまえに、複雑な心境。

コイツ。こうして笑ってれば、可愛いのに・・・

「女の子との約束があるわけでもないんでしょー」

前言撤回。
やっぱ、子憎たらしいヤツだ。
 
 
「るせーな。・・・そういうお前だって、折角の休みに幼馴染しか誘うヤツいねぇなんて。なぁ?」
反撃とばかりに、にやりと笑って隣を見る。

「うるさいなぁ。今日は、たまたま。・・・たまたま予定が合わなかっただけだもん」
少し元気が無くなるなまえと、言われた言葉に。

よく分からない、むずむずとした感覚に襲われた。
 
 
 
 
 
 
「あー・・・疲れた」
休憩にと入った店で、席に座るなり思わず親父くさい台詞が出てしまった。

「ごめんね、色々連れまわしちゃったから」
「別に・・・慣れない店ばっかりだったからよ」
なんかこう、ヘンに緊張したっつーか。
首をコキコキと鳴らすと、なまえが少しほっとした顔で笑った。

「じゃ、ここは私が奢ってあげる。一応、お礼ってことで」
「分かった。それで、今日のはチャラだな」
じゃ、遠慮なく食うぞー、と笑って言うと、なまえも楽しそうに微笑んだ。





「あ。シカマル先輩!」
「あぁ?」

なまえと茶を啜っていると、どこからか声がかかった。
しかも、女の声。

誰だ?と声のした方を向けば、知り合いのくのいちだった。

「おー。偶然だな」
「はい。そっか、先輩も今日お休みでしたもんね」
にこにこと、人懐っこそうに近寄ってきた。

「あの、こちらの方は?」
「あ?あぁ、コイツは幼馴染」
「こんにちは。いつもシカマル先輩にお世話になってます」
彼女がなまえに挨拶をすると、なまえもはじめまして、と笑顔で挨拶を交わした。

「今日は先輩が休みだから、皆は仕事大変だろうなぁ」
「シカマルも、頼りにされてるんだ」
「されてるなんてものじゃないですよー!頭脳を拝借しようともう引っ張りだこなんです」
笑う後輩に、へぇ、と驚いた表情で話を聞くなまえ。
 
 
「あっ、そうだ!シカマル先輩、ちょっと今度の中忍試験の事で聞きたいことがあって」
「あー?んだよ、休みの日に仕事の話は止めろよ」
「そんなぁ・・・シカマル先輩、いっつも忙しくて捕まらないんですもん」
「そんな事言われてもよ・・・」

ちら、となまえを見ると、俺を見ていたなまえと目が合って。
すると、なまえはニコリと微笑んで立ち上がった。

「いいじゃない、シカマル。可愛い後輩の頼みなんだから、聞いてあげなきゃ」
「って、お前・・・どうしたんだよ」
「仕事の話なら、私は外した方がいいでしょ?」
ほら、と促すなまえ。

「でも、お前・・・まだ用事あるんじゃ」
「大丈夫。買い物なら一人でも行けるし。ね?」

支払いはすませておくから、大丈夫よ。
今日はありがとう、と笑って、なまえは行ってしまった。
 
 
 
ありがとう、って・・・

笑ったアイツの横顔が、何故か今にも泣きそうに見えて。

なまえ・・・お前、そんな顔・・・
 
 
 
「悪ぃ、俺、行くわ」
「えっ、ちょっ。先輩!?」

後輩の声を後ろに聞きながら、考えるより先に身体が動いていた。



「おい、なまえっ、なまえ!」
早足で駆けていくなまえを追いかける。

「待てっ・・・ての!」
やっとのことでなまえに追いつき、腕を捕らえた。

「何、シカマル」
「なに、じゃねぇだろ」
「あの子のこと、放ってきちゃったの?」
だめじゃない、といつものように言うなまえ。

でも。

その声は弱々しくて。
強気な瞳も、俯いた顔からは見えない。

「戻って、あげなさいよ・・・」
「あー、うるせぇ。ちっと黙ってろ」

そう言い放つと、俯くなまえを抱え上げ、走り出した。
 
 
 
 
 
 
 
 
「ほら。今日はもう買い物なんて気分じゃねぇだろ」
結局、なまえの家の前まで帰ってきてしまった。

「なんで・・・」
「なんで、ってお前。・・・あんな顔されたら・・・」
そう言ったところでなまえを見ると、唇をぐっと噛み締めて俺をじっと見ていた。

「な・・・」
「私はっ、別に・・・なんともなかった、のに」
「・・・・・・」
「別に、一人になったって・・・」
 
 
震える声で伝えられる、なまえの言葉。
 
 
「平気だし・・・っ」
「・・・・・・」
「シカマルのこと、なんて・・・っ」
 
 
それは
 
 
「・・・俺のことなんて・・・?」
 
 
きっと・・・
 
 
瞳の端からぽろり、と涙が零れ落ちたのを見て、たまらず、なまえを抱きしめた。





「なまえ・・・」

玄関先で思わず抱きしめてしまったら、途端になまえがわんわんと泣き出して。
急いでなまえの部屋へ駆け込んだ。

「落ち着いたか・・・?」
ベッドに二人で腰掛け、なまえの背中を擦ってやる。

「うん・・・」
ぽそ、と呟いたまま、それでも俺から離れないなまえ。
初めて見るなまえの姿に、なんだかドキドキしている自分。

「・・・なぁ」
「ん・・・」
「俺のことなんて、・・・なんだよ」
優しく背中を擦りながら、尋ねる。

「・・・・・・」
「なぁ、教えろよ」
「私ね」
尚も尋ねた俺に、なまえがゆっくりと口を開いた。

「ずっとシカマルのこと、頼りない男の子って思ってた」
「・・・・・・」
「でもね、そうじゃなかったの」
俺の胸に額を摺り寄せ、きゅ、と服を掴む。

「シカマルは、どんどん仕事もできるようになっていって、どんどん逞しくなっていって・・・私の知らないシカマルが沢山あって・・・」
怖かったの、と、ぽつりと呟いた。

「怖い?」
「どんどん私から離れていっちゃう気がしたの」
バカでしょ、私。

そう、泣きそうな顔で微笑むなまえが、ひどく愛しい存在に思えて。
 
 
強がりも、憎まれ口も、全部。
 
 
「・・・ずっと、好きだったの」
 
 
また、ぽろりと零れた涙を唇で吸い取ると、驚いたように目を見開いた。
 
 
俺もだ、とくすりと笑って伝えると、泣きながら笑った。




一度唇を合わせると、堰を切ったように、激しく求め合った。

きっと・・・俺も、なまえも、ずっとこうしたかったんだと思う。

舌を絡ませ、もっと深くなまえが欲しくて、髪の毛に指を指し込みぐっと頭を抱き寄せる。
時折聞こえる鼻にかかった声が、俺の頭を痺れさせた。

ちゅ、と音を立てて舌を引き抜けば、目尻を赤く染めたなまえのうっとりした表情が目に入って。
じん、と身体の中心が熱くなる。
 
 
「なまえ・・・」
囁いて首筋に顔を埋め、キスを降らせる。

俺のものだという印を刻んでやれば、あ、と掠れた声が耳を擽る。
ねっとりと印を上から舐めると、ぴくりと身体が震え甘い吐息が漏れた。

なまえから返ってくる反応全てが、愛おしい。
 
 
服を肌蹴させて下着姿にさせると、恥ずかしがって身体を捩り隠そうとする。
そんな仕草も、俺を興奮させる材料にしかならない。

「隠すなよ・・・」
「だって」
「俺しか、見てねぇから」
な?と目で笑いかけると、頬を真っ赤にして俺の首へ両手をまわした。

「イイ子だ」
にやりと微笑み、下着の上から柔らかな胸を揉みしだく。

今までは気付きもしなかったが・・・形の良い胸は、可愛らしい下着からは零れてしまいそうなくらい大きくて。

「いつの間にこんな身体になったんだよ・・・」
エロい身体になったな、と意地悪く言うと、潤んだ瞳で睨んできた。

「ば、ばかっ!」
「俺は、嬉しいけど」
ふっくらとした谷間に唇を寄せて、きつく吸い上げると途端に反応する素直な身体。

たまらず、下着を押し上げると、ぷるんと両胸が零れ落ちた。
両手でやんわりと揉みしだき、突起の周りを舌でなぞる。

立ち上がってきた赤い先端には触れずに、しつこく周りだけ舐めたり擦ったりしていると、一層甘えた声があがった。
「は、ぁっ・・・シカ、も・・・」
「あ?」
「だ、だめぇ・・・意地悪、しないで」

ふるふると震えて俺を見る、弱々しい瞳がたまらない。
「言えよ、して欲しいこと」
なまえの瞳を見つめたまま舌で舐めてやると、ぎゅ、と目を瞑ってしまった。

「っ、先っぽもっ・・・触ってぇ・・・」
「上出来」
ぷくりと膨れた先端に吸い付き、舌で転がしてやると、甲高い声をあげながら背中を反らせた。





「悪ぃ、抑えきかねぇかも・・・」
先端をゆるゆると濡れた入り口に擦り合わせると、なまえが涙目で見上げてきた。
「シカマルっ、おねが・・・来てぇ」

甘えた声で両手を差し出されたのを見て、もう欠片しか残っていなかった俺の理性も、全て崩れ去った。

ぐ、となまえの中へ進めると、ひどく暖かくて。
「なまえ・・・俺がいるの、分かるか?」
ぐ、と奥へ進めて身体を密着させると、途切れ途切れに返事を返した。

「あっ、わ、わかるっ・・・シカぁっ・・・」
「すげ・・・あったけー」
暫くその温もりに身体を預けていたが、緩い刺激に疼いてきたのか、なまえの腰がゆるゆると動き出して。
思わず微笑んだ。

俺だけじゃ、ねーんだ。―――欲しがってるのは。
 

ゆっくりと抜き差しを繰り返し、次第に動きを激しくしていく。
先端まで引き抜いては、奥へと突く。
先端をひっかけるように刺激してやると、もっと深く、ときつく抱きしめてきて。
 

俺は完全になまえに溺れて、二人で無我夢中で頂点を目指した。
 

 

 

 
「なまえ、大丈夫か?」
「も、もうっ。シカマル、やりすぎ・・・」
背を向けて丸くなっている。

「んだよ、お前だって満更でも」
「う、うるさいーっ」
わーっ、と俺の口を両手で押さえにくるなまえの腕を捕らえると、顔は真っ赤で。

「ったく。・・・もう、いいだろ」
俺の胸の中へ抱きしめると、あー、うーと声にならない声を出していたが。
 

意地張んのも、もうヤメ。

な?と言って額にキスを落とす。

くすぐったそうに微笑むなまえに、俺も笑った。
 

 

 

++++++++++++++++++++
『mon amour,nara』のmimsさまへ、相互記念で捧げますv
こ、こんなシカマル、如何でしょうか。mimsさまの男気溢れる彼とは全く違いますが(笑)
よろしければ、お納め下さいっ。
これからも、どうぞよろしくお願いします☆

2008.02.04




センニチコウ』のみゅうさまから頂いた、相互記念夢です。

ああ、みゅうさん・・・
もう絶妙です!!
幼馴染設定、大好きなのですよ。
シカマル、カッコイイvv切なさと甘さのバランスも、エロスの度合いも表現も、胸がキュッとなって蕩けますーー!!

素敵な相互記念夢、ありがとうございました。これからも宜しくお願いします。

2008.02.05
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