予感
まったく、このクラスはやりにくい。
何がって、勿論授業が、だ。
いや。別にこのクラスが嫌いだっていうわけじゃあないんだ。
手に余るような問題児が居るわけでもねぇ。授業中だって静かなもんだ。
―――なんだが、なぁ。
さっき、便所だと言って出て行った奈良と、後を追うように間をおかずに出て行ったアイツ・・・確か、シカマルの彼女だったか。
放課後、シカマルと将棋を打ってるとよく顔を出してはからかっていく・・・って、んなこたぁ、どうでもいいんだ。
とりあえず、シカマルには放課後、説教だ・・・将棋を打ちがてらな。
俺の授業をふけてまで、女といちゃつくなんざ、十年早ぇんだよ。
・・・で、だ。
問題は奴らじゃなく。
ちらり、と、先ほどからびしばし感じている視線の方へ目を走らせる。
その先には、教科書を開いてはいるものの、両肘をつき手の項に顎を乗せている生徒の姿。
・・・見せ掛けでもいい。せめて、目線を一時でも下にやってくれていればいいものを。
逸らすこともせずに、じっと俺をみつめている。痛いくらいの視線。
まったく。何でこんな居心地の悪い思いをしながら授業をやらにゃいけねぇんだ。
思わず、ふぅ、と小さく溜息をついた。
「・・・じゃ、資料集開けー」
手にしていた教科書を教卓に置いて、声をかける。
ばたばた、と音が響いて、また静まる教室。
ちらり、と手に持った資料集から目を覗かせて、あいつの方を伺うと。
―――おいおい。勘弁してくれよ。
まだ、先ほどの姿勢のまま。
目線は相変わらず俺の方に向けたまま、ぼんやりとしていた。
「・・・オイ」
「・・・は、はいっ」
見かねて声を掛けると、やっと現実に引き戻されたかのように慌てた声を出して、俺を見上げた。
「資料集、開けっての」
「え・・・あ・・・っ」
もごもごとしながら眉尻を下げるそいつの机の上を見れば、教科書、ノート、筆箱・・・以上。
「ったく」
忘れてやがるし。
「ボーっとしてねぇで、隣の奴に見せてもらえ」
さっきから教科書見てねぇだろーが。
そう言って、手にした資料集の背で、こつん、と頭を小突いてやった。
「・・・!す、すみませんっ」
本当に分かってるのか?と見下ろすと。
真っ赤になった、そいつの頬。
・・・と。
俯いて零れた髪から覗く、赤く染まった耳たぶ。
―――ちょっと待て・・・その反応は。
「・・・次からは、気ぃつけろよ」
自分の心臓の音がやけに大きく聞こえてきて、誤魔化すように咳払いをした。
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mimsさんのステキ小説『アイエヌジー』から妄想v
アスマせんせー。世界史とか希望(タルい感じで。笑)
これからしばらく、このコにどぎまぎしちゃえばいいのさ!
2009.11.04
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センニチコウ]のみゅうさまより頂いてきた素敵夢。
しかも、拙宅のアイエヌジーとリンクさせて書いて出さったとのこと、ありがとうございます。勿体な過ぎる!!!
まさにまさに、私も猿飛先生と言えば世界史教諭しかないでしょうと思ってましたっ!!!みゅうちゃんとのシンクロ、嬉しかったよォォォ。
2周年のお祝いとして、遠慮なく頂きます。これからの1年もどうぞよろしくお願いしますね〜\(^o^)/
2009.11.05 mims@mon amour