GO!GO!GO☆恋は臆病、なおかつ盲目
彼女と初めて出会ったのは
飲み慣れた居酒屋
キバに数合わせに来てほしいと誘われていった合コンだった。
あの頃の俺は、お酒の上手な飲み方を知らなかった
凄く酔っ払っていたのに
『帰るわ…』の一言がいえないでいた
男が酒に呑まれて
挙句、女より先に帰るなんて…
そんな時、甘い香りとふわりと柔らかな風が後ろから…
両目を覆われて
『だーれだ』
『誰っすかね…』
両目を覆っていた手がはずされ上を見ると、ふわりと笑うその女は
『もう、つまんない…』
『は???』
俺の手を引っ張っていた
『ほら、店出るよ?』
誰だか知らないその女の声に導かれるままその場を逃げ出した
それから介抱されながら
思考回路のショートした俺は彼女に帰らないと駄々をこね、こう言ったらしい
今夜はお前に酔いしれたい
彼女は大笑いして、彼女の自宅へと俺を連れ帰ったらしい。
それはある日の午後だった。
任務を終え、報告書を提出しに行く中だった
『おい、シカマル。今日、新年会あるって、いのから聞いたか?』
『聞いた、聞いた…
ったくこの前忘年会やったばっかだろーが…』
『楽しいことは何度やってもいいんだってばよ』
相変わらず、キバやナルトたちとの付き合い続いていた
『来るんだろ??』
『チョウジが食いもんあるから行くって言うしよ…
だいたい、断ったって強制参加だろ??』
『じゃあ決まりだな!!』
正直、昔の仲間と集まることはこの年になるとなかなか難しい。
《強制参加》
この言葉は嬉しかった
気の合う仲間と会って、馬鹿騒ぎやるのは嫌いじゃない
『そういえば、シカマル、今日の新年会!!なまえも来るんだってばよ!!』
『…』
ばさっ!!
提出書をはさんでいたバインダーが俺の手からこぼれ落ちてはっと我にかえる
『どうしたってばよ??』
『いや…別に??』
心の動揺を気づかれないように
何事もなかったかのようにバインダーを拾う
『じゃ、夜な』
『ああ…またな』
絶対ばれたと思ったのに
二人が馬鹿でよかったぜ。
彼女と最悪の出会いをして何年たつだろうか
キバやナルトたちがどんどん彼女と打ち解けていく中
俺はなまえを避けていた
あの日、目隠しをされて、見上げた俺の目に映ったなまえの笑顔と甘い香りと、ふんわりした空気に確かに酔いしれたはずなのに
酔いつぶれて倒れる寸前だったところを助け出され、介抱され、恥かしい酔っ払いの発言を吐き、部屋にまで上がりこんでしまった…
そんな男としての不甲斐なさや恥かしさがずっと邪魔して。
俺って馬鹿だよな…
新年会が始まって、2時間が経過。
みんな完全にいい感じに出来上がっていた
『だーれだ』
『なまえ…』
『ピンポーン☆
ははは』
顔を上に向ければあの日と同じように微笑むなまえが立っていた
『全然酔ってないじゃん』
もっと呑んでと晩酌してくる姿に心の中の俺は頬が緩んでいるというのに
『あの日と一緒にすんなよ。
何年経ってると思ってんだよ、たく。』
現実の俺は眉間に皺を寄せて不機嫌だ
何をやってんだ、俺は…
『もう3年は経つかな〜?
懐かしいね〜。すっかり頼もしくなっちゃって』
ふふふと空いたお猪口にお酒をまた注いでくれる
『よかったな〜、シカマル』
『なまえ、俺にもお酒ついでくれってばよ』
急に酔っ払い二人組みが絡んできた
『お前らはもうだめ!!呑みすぎだろ…』
『ずるいってばよ』
呆れているのと、二人だけにしていてほしい気持ちでいっぱいなんだけど…
『しょうがねーだろ??
シカマルはなまえを独り占めしたくてしょうがねーんだから』
『そっか〜
だから新年会になまえが来るって聞いて動揺してたんだてば…』
性質の悪い酔っ払いはニヤニヤしながら俺となまえの声まねをしながら小芝居を始めた
『なまえ!!好きだ』
『いやん、シカマルったら、みんなの前で恥かしい。あ、と、で。』
『あとでとかめんどくせーこと言ってんじゃねーよ』
ナルトを押し倒しながら俺のまねをするキバ
『別に俺らはそんなんじゃねーよ!!!』
『ふーん。そうなの??』
しれっとした顔でなまえに話題を振るキバ
昼間、気づいてない振りしてやがったな!!!
『なーんだ!じゃあさ、じゃあさ!!なまえ、この前のあの男と付きあえばってばよ』
『『この前の男??』』
思わずキバと俺の声がハモル。
『この前、年上の知らない男に付き合ってくれって言われてるの見たんだってばよ』
なんだよそれ…
『やだ、見てたの??』
マジかよ…
『ホントなんだ!!!へ〜どんなやつ??』
ナイス☆キバ!!
『さあ〜??優しそうな人ではあったけど…』
絶対下心とかあるからそんなやつ!!
『チャンスじゃん!!付き合えよ』
薦めんなら俺だろ!!
『うーん、そうだねえ…って余計なお世話だよ』
酔っ払い二人に囲まれて、笑ってその場をやり過ごすなまえを見て、お酒の手酌のピッチが早くなってることにも気づかず、内心思った
こんなに余裕なくて、俺ばっかり悩んで、馬鹿みてー
『俺、帰るわー』
妬きもちとか、マジでかっこ悪ぃ…
一人でふらふら夜道を歩きながら、情けない自分に愛想を付かせていた。
不意に胃の気持ち悪さが上昇してきた
『うえ゙…』
溝に全て吐き出していると背中をさする手が
『変わってないじゃん…』
『誰のせいだと思ってんだよ!!』
最悪だ…
怒鳴りながら、優しい手を払いのけるなんて
『えー??それって私のせい??』
『当たり前だろ??』
はーっと大きなため息をついて彼女は
『ほんと、変わってない
意地っ張り…』
『私はさっき、キバとナルトたちがやってた小芝居みたいな展開になっても構わないって思ってたけど??』
『へ??』
我ながら変な声を出したと思うくらいの不意打ちだった
彼女は俺の胸倉を掴んだ
普段怒らない人が怒ると怖い
『何年片思いしてきてると思ってんの??
シカマルが男だからとか、女だからとか、つまらない意地張ってることくらい分かってるんだからね』
掴んでいた胸倉を突き放して、
『シカマルがどれだけ意地はろうとそれはシカマルの勝手だけどさ、だけどさ、
どんな人に好きって言われても見向きできないくらい、シカマルのこと好きな私の気持ちはどうすれば良い訳??』
一気にまくしたて
『意気地なし!!』
捨て台詞を吐いて去っていった
えーっと、つまり??
さっきなまえがいった言葉を頭の中でおさらいする
『…』
片思い
他の人に見向きできない
シカマルのことが…
『ちょっと待て!!!』
全速力で走りなまえの腕を掴む
『馬鹿!!!告白は普通男からって決まってるんだよ』
せっかくの大事な場面だというのに…
酔った上に、全速力で走ったりしたもんだから
リバース再び…
そんな俺を大笑いしながら
『明日の朝、じっくり聞かせてもらいます。』
そんなわけで、また彼女の部屋で介抱され朝を迎えた
二度にわたる失敗に落ち込む俺に
『気取ってるシカマルも、優しいシカマルも好きだけど、時々、間抜けなシカマルも、愛おしいって思ってるんだよ…』
だから、早く…
『いや、やっぱ俺なりの筋を通すまでは言えねーわ…』
『は??』
なまえの手を引っ張り寝室まで来るとベットにダイブして、抱きしめた
『とりあえず、おやすみ…』
意地をもう少し…
せめて男のプライドが許せる自分になれるまでは…
END
あとがき
mims様に捧げるリク夢です
555のキリ番報告を頂いたので…
完成ー!!
やっちまいました…
シカマルってやたら男とか、女とか、そんな形式めいたものに理想を抱いていて、綿密に計画立てていそう…
恋には臆病で慎重…
だからこそ、意地は凄く張るんじゃないかみたいな…
イメージで作ってしまいました
いかがでしょうか
こんなヘタレなシカマル…
そしてヒロインは
恋は盲目。
どんな彼をも愛してしまう
書き直し受けつけますので、どんどん言ってくださいね。
■あとがきby mims■
autumn leavesのkajyugonさまに頂いて555hitsのキリバンリク夢です。
強引なのに意地っ張りでヘタレなシカマル最高だし、居酒屋絡みのシチュエーションが妙にリアルで堪らぬ!
2008.01.13