僕が幸福である為に
明け方、
窓の外を見たら雲が太陽の光を反射させて、何だか凄く綺麗だった時とか、
任務中、
薬草探してたら昼寝に最適な場所を見つけて、ちょっと嬉しかった時とか、
就寝前、
何気なく時計を見たら数字がゾロ目で、何となく可笑しかった時とか、
その度に、
君の笑顔を思い出す。
[僕が幸福である為に]
「笑わないよね」
不意に彼女の唇から溢れ落ちた言葉に、俺は目線を窓の外に広がる青空から彼女に移して眉を寄せた。
「……何が?」
「シカマルの事だよ。
普段あんまり笑わないよなーって思ってさ」
どうして?なんて首を傾げるなまえに俺はくわえていた煙草を指で挟み、煙を吐き出しながら肩をすくめる。
昔から染み付いてる、
「分からない」の動作。
それを見たなまえはんー、とか唸って何やら考えた後、俺の傍らまで寄って来て手を伸ばしてきた。
「はい、にーっ」
「……あのな」
左右に引っ張られる頬。
別に痛くは無いが自然と眉間の皺が深くなる。
するとなまえはムッと下唇を突き出して不満そうな表情を浮かべ、そのままむにむにと俺の頬を揉んだ。
「笑わないと顔の筋肉がしかめっ面のまま、固まっちゃうよ?」
「そりゃ嫌だな」
「なら、笑いなよ」
「…笑えって言われて笑ったって、単なる作り笑いになるだけだろ」
ナルトと同じ班にいる、
サイとかいう奴みたいに。
そう言ったらなまえは俺の頬から手を離し、目線を斜め上に向けて黙った。
「…うわ、シカマルがサイみたいに笑ってたら気持ち悪いかも…」
「おーいなまえさん、自分がさっきまで俺に何て言ってたか覚えてますか」
「あ、あはは…。やっぱり自然体が一番だよね!」
あはははと口端を引きつらせながら苦笑するなまえを横目に、俺は煙草を傍らに用意しておいた灰皿に押し付ける。
そして軽く腰を上げると、
「そりゃ」
「ひゃ…!?」
なまえの華奢な身体を俺の腕の中にすっぽりと閉じ込めて、そのまま後ろに二人して倒れ込んだ。
ゴン、と軽く床に後頭部をぶつけた音がしたが、大して痛くもなかったし予想していたので気にしない。
それよりも、
今はこの腕の中できょとんとしてるなまえの柔らかさを堪能するのが優先だ。
「…え、あの、シカ?」
「ん?」
「は、離して?」
「やだ」
左手は細い腰に、右手は小さな頭に回して俺の身体とこれ以上にないってくらい密着させる。
そうすれば、
「シカ、ちょ…は、恥ずかしい…」
熟した林檎に負けないくらいに真っ赤になったなまえの出来上がり。
その顔がいかにも「恥ずかしがってます」って表情をしていたから、俺はつい吹き出した。
「ははっ、真っ赤」
「うっ…煩い!」
頬を膨らませて、
ぷいと顔を反らすなまえ。
それでも小さな両手は
俺の胸元をしっかと掴んで離さないから。
「なまえ」
「…何?」
「俺、今すげー幸せ」
やっぱり、俺には
君が必要だって思った。
(私も、と微かに聞こえた言葉に俺はまた笑った)
end.
mims様に捧げる相互記念夢でございました。
[ぽわんとした甘いシカ夢]とのリクを頂いたのですが、あれ?と作者まで首を傾げる出来になってしまいました…(汗)
mims姉さん、待たせた挙げ句にこんな出来でごめんなさい!!土下座でも書き直しでもするから、ひなを見捨てないで下さい!(必死)
mims様のみお持ち帰り可でございます。ありがとうございました!
[おかしのくに。]の如月ひなさまより頂いた相互記念夢。
ひなちゃんへの感謝の念がとどまるところをしりません!!
2007.12.04