私にはお兄ちゃんがいる。お兄ちゃんはモデルだ。しかも、バスケやっていて、人気者だ。ファンの女の子だって上手に巻く。
それに比べてわたしは何をやってもうまくいかない。ファンの人だって上手に巻けない。そのせいもあるけれど、仕事で学校も休みがちだ。それにいつもウィッグと、愛用の眼鏡をしてなくてはいけない。
だからそんなお兄ちゃんが羨ましかった。
お兄ちゃんの撮影について行ったらそこでスカウトされた。そしてそのまま読者モデルをやっていたが、後に歌をだした。そうすればなぜかそれがあって人気が出た。はじめは嬉しかったけれども、今はそうでもない。
目立つ容姿に、あちらこちらに貼ってあるポスター。そのせいで気を抜けばファンに追われる毎日である。いつしか普通の高校生には程遠くなっていた。
「名前?どうしたんスか」
「ううん、なんでもないよ。じゃあ言ってきます」
「いってらっしゃい名前」
「うん、いってきます」
兄の優しい見送りと、柔らかい笑顔につられて顔がほころんだ
「あ、名前」
兄に腕を軽くひっぱられ、「え」と、答える
「ほら、ゴミついてる」
「あ、ありがと」
頭に何かついていたみたいで、それをとってくれた。また行こうとすれば腕をひっぱられ
「それと忘れ物っス」っと言ってわたしにキスを落とした
あなたはいつでも私の憧れの対象なのです「そういうとこを軽々とできちゃうお兄ちゃんて、凄いよね」
「え、そう…なんスか?」
「そうだよ…。そういうこと、他の女の子にしちゃ駄目だからね…」
(いつでも俺は憧れの対象でしかない)(いつでも兄は憧れの対象でしかいてはいけないの)
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ひまわり:憧れ
121108蜜柑