思いっきり押されて倒れた体を起こす。なんだか周りが騒がしい。
おい、如月、なんでいきなり押したんだよ。
と、笑いながら聞こうと思っていたのに、一瞬で笑が消えた。
目の前には血だらけの如月がいた。近くで見ていた人が沢山駆け寄ってきた。時期に救急車が来た。
俺はよく今だに何が起こったのか、分からないまま一緒に救急車に乗せられた。
如月は目を瞑ったまま、開かなかった。
それから何時間経ったか分からない。俺は警察などににもその時の事を聞かれたが、うまく答える事ができなかった。
如月が目を開けないまま数日たった。面会などできず、家で待つしかない。寝ても覚めてもあの時の事ばかりがよぎった。
そうして何も手につかず過ごしていたら、いきなり着信音がひびく。
ディスプレイに如月那音の文字。素早く携帯を握り、おそるおそる通話ボタンを押した。
「如月?!」
『あなたが高尾君?』
「あ、はい。そうですけど…」
電話の向こうは如月ではなく、彼女の母だった。如月が目を開けた。という連絡だった。
何も考えず、急いで如月のいる病院に行く。急にだったもんだから、当然なんにもお見舞いのものだなんて持って行ってない。
「如月!よっかった…生きてて」
個室のドアを開け、如月に向かって言ったが、いつものような返事は帰ってこなかった。
その代わり、そこには包帯が沢山巻いてあり、点滴をされた如月いた。そして、ただ、じっと俺を無言で見ていた。
思い出とぬくもりと吐き気
(ああ、吐きそうだ)
(本当はこんなはずでは無かったのに)
ーーーーー
title:ポケットに拳銃
120919蜜柑
戻 次