手が振り上げられ、反射的にぎゅっと目を瞑った。が、その後痛いという言葉はでてこずに、不思議に思って目をそっと開ける。そこには女の子の振り上げた手を持つ緑間君がいた
「み、緑間君?!」
「なにしているのだよ」
「なにって…」
ごもって、目線が揺らぐ女の子。その後ろにひょこんと顔を出して
「那音こっちおいで」
て言って、腕をつかむ高尾
「真ちゃん行くぜ」
「分かっているのだよ」
ひっぱられるがままに私は走り出した
しばらく走って、校内に逃げる。私はもともと体力は無い方だから息があがった。そして、へなりと床に座る。そんな私を見て「ほんっと体力ねぇよな」と高尾が言う。“煩いな”と、返そうとしたのだが、あいにくメモ帳とシャーペンは、吹き飛ばされて無かった
「にしてもアレってさ、なんか少女漫画みてーだったよな」
「そうなのか」
「あ、真ちゃん漫画読まないか」
「読まないというわけではないのだよ」
「那音なんか真ちゃんに貸してやれば?」
突然ふられれハッとする。どうやって返せばいいのか分からずにあわてていたら、高尾に「メモ帳ねぇのか」と聞かれた。そうだよ。と、頷いた。
にしても、実際本当に高尾の言うとおり、少女漫画みたいで…なんだか笑える。クスクス笑っていれば、高尾が「ちょ、なんだよ」と聞いてきた。少女漫画みたいだった。と、答えたくって、口ぱくで伝えてみたが、伝わったのかどうかは分からない
「実はさ、真ちゃんがすっごい顔しながらここまで走って来たんだぜ?」
私の目線に合わせるようにしゃがんで、高尾が言った。
「な、なにを言うのだよ。俺はその…如月が…」
ごにょごにょっと語尾を誤魔化す緑間君。でも、そんな事よりも、なんだか少しがっくりしている自分がいた。高尾が見つけてくれた訳じゃないんだね
「那音どうした?」
高尾の問いかけに首をふるふる振るって、笑顔を見せた
料金不足な愛情
(この感情をなんと名付けようか)
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title:ポケットに拳銃
121110蜜柑
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