「お前は何か弾けないのか」
『どうしてそう思うの?』
「あいつから聞いたのだよ」
『なるほどね。でも、最近弾いてないからなぁ…』

うーんと考えてひとつ思いついた

『ねえ、連弾しない?』
「連弾か」
『私が適当に弾くからさ』
「まだ俺は承諾をしていないのだよ」
『もしかしてできない?』
「ーー!俺ができないわけないのだよ」

首を傾げて挑発的に言うようにメモを見せながら口パクすれば、それにのるように返してきた



そこら辺に置いてあった椅子を持ってきて、ピアノの前に座る。
ひと呼吸してからそっと鍵盤に指をのせた。
そして、ゆっくりと鍵盤をおして音を鳴らす。

ポーンと響く音を聴いてから、そのまま指を動かした。


「きらきら星か」

緑間君が呟いた。

見てなさい?と、言うような顔を向け、1番だけを片手で弾いてから、もう片手も鍵盤にのせた。
そしてトリルとか、その他の技法を、後から後から付け加えていく。それを聴いた緑間君は「面白い」と、言ってから、あいている鍵盤に手をのせて、私に合わせるように弾いた

とても心地良くて…気がつけば時間があっという間にすぎていた


サイレントフォーカス




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title:ポケットに拳銃
121008蜜柑




 

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