「おい、高尾を知らないか」

放課後。ぼうっと自分の席に座って、のんびりと帰る準備をしているところだった。

頭上から声が降ってきたと思って前を見たら、目の前に白いシャツが見えた。上を見ると、緑色の頭をした背の高い人が立っていた。

そのままじっと見ていたら「どこに行ったと聞いているのだよ」と言われた。

急いでメモ帳を取り出し、シャーペンを走らせて返事をする

「おい、人の話を聞いているのか」

声がまた降ってきた。えっと、どうしよう。とりあえずメモ帳を見せようと思って、それを差し出した



「ふん、見てないのか。それにしてもなぜ喋らないのだよ。」



あ、そうかそうか、この人は知らないのか


『ごめんなさい。私はしゃべれないのです』

メモ帳に書いた言葉を長身の緑君(仮)に見せると、一瞬気まずそうな顔をした

「…すまなかった」
『いいのです。知らなくて当たり前ですから。ところで、あなたは高尾の友達ですか』
「ふん、なぜそう思うのだよ」
『高尾についていたにおいと同じにおいがしたから。なんとなく。もしかして貴方がしんちゃんですか?』
「…違わなくもないのだが、それはどういう意味なのだよ」

そっぽを向いて顔を赤くした緑君(仮)改めしんちゃんさんに『どういう意味って?』と聞き返すと、「…どんな匂いか聞いてるのだよ」と、言われた。






 

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