なにげない幸せ
蓮が本格的にマネージャーになって早数週間。
俺は先輩達とパス練習をしたりしていた。蓮がマネジになってから体の調子がいい。それは、蓮の観察力のおかげだと思っている。
蓮、本当に周り見るのが上手いっスよね。ドリンクでも1人ひとり味を変えてるんスもんね。
ーガッシャン
「ぎゃあ」
鈍い音と他とは違う高い超えが、部室の入り口ぐらいで聞こえた
「蓮」
名前を呼んで振り向くと、案の定、蓮が持っていたバケットと共に転んでいた。氷水が散らばっている。
「よそみすんな!」
「ごふっ」
顔面にボールを当てられた。いや、だって蓮が!て、言おうとしたら先に先輩に「他の近くの部員がいるだろーが」と言われた
その通り近くの部員が蓮の近くに来て、タオルやら渡していた。
「後で行けばいいだろーが。お前はいい加減幼馴染離れしろ!」
「うー、はいっス」
先輩に、説得されて渋々また練習に戻る。
蓮は大丈夫だろうか。こればかりが頭の中をぐるぐるとまわる。
「うわぁぁあ!!」
いきなり森山先輩が叫んだので、ビクッと体が震え、ボールが落ちた。
「なんっスか?!」
「どうしたんだよ」
「ぶ、部室が綺麗なんだよ…」
「「は、」」
笠松先輩が駆け寄ったので、俺もついて行った。
「…」
そこはあのきったない部室ではなく、綺麗に整頓され、なおかつ掃除がしてあった
流石蓮…っス
その後蓮が森山先輩に部室に連れていかた。その後おどおどと、海常のTシャツを着た蓮が出てきた
Tシャツのサイズが合わなかったのか、少しぶかぶかのTシャツを着ている。鎖骨が見えてるし、なんかいろいろヤバイ
「蓮、それ…」
「予備があったらしくて…着たんだけど、ちょっと大きかったかな?」
えへへ、と、笑う蓮に俺は上着を差し出した。
ありがとう。と言って袖を通したけど、やっぱりサイズがあわず、袖が…余っている
「ふへへ…」
「なんか嬉しそうっスね」
にやけを抑えて少し嬉しそうな蓮に問う
「うん。だってね、みんなとお揃いなんだもん!」
満面の笑みで、ほほえみながら、少し顔を赤くして言った。
何かが吹っ飛びそうで、壊れそうな気がした。正直理性吹っ飛びそう
蓮、どうしてそういうことを無意識にやっちゃうんスか。こっちの身にもなって欲しいっス
「それはよかったっスね」
「黄瀬君顔ひきつってるけど、ごめん、変なこと言ったよね」
「かわっ…あ、違うっス。蓮はこう…なんで嬉しいのかなって思っただけ」
わけがわからなくなって、言葉が通じているのかも分からなくなった
「だって、私ただのマネージャーだし、なんか皆の輪に入れてない?そんな気がしたから…」
「蓮。そんなことはないっスから」
とりあえずもう、歯止めがきくうちに蓮の頭をくしゃくしゃしておくことにした
なにげない幸せ「なあ、お前の幼馴染なんでこんなに可愛いの?もらっていい」
「いくら先輩でもだめっスよ。容赦しませんから」
「黄瀬、目が笑ってないから」
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120923蜜柑
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