オヤジに女のことを報告するとソイツが目覚めたら話し合うと言われた。

いつになるかと考えていればその一時間ほど後に目覚めたと隊長に召集がかけられ、数分もしないうちに全員が船長室に集まる。


女は目隠しされているが周りの様子が違うことに気付いたようで、落ち着かないらしい。



「…さて、女。お前ぇ、名は?」
「名前…は、苗字 名前、です、けど…」



そわそわしている様子からは想像出来ないほど、その声は抑揚がなく冷淡だった。



「そうか…名前、お前ぇは能力者か?」



名前の眉が顰められる。



「能力者…?私は、何の能力もありませんが…」
「じゃあ悪魔の実は食ってねぇんだな?」
「悪魔の実…って何ですか?」



まさかの答えに全員が目を丸くした。
悪魔の実を知らないなんてあるのだろうか?



「悪魔の実を知らねぇのか」
「そんなに有名なんですか?」
「…まぁいい。名前はどこの島から来た?」
「なに…何なんですか?」



少しイラついた口調になり、その態度に不快を表す奴も出始める。



「質問に答えろよい」



先を促すと女は少し間を置いて諦めたように答えた。



「島…まぁ島国ですけど…日本です」



にほん?
そんな島聞いたことがねぇ。
俺だけかとも思ったが、どうやら周りの奴らもオヤジも一緒だったらしい。



「…どこの海にある?」
「知能テストですか?日本海と太平洋があります」



信じがたい話だが、勘のいい奴はある一つの仮定を考え始める。
それはオヤジも勿論気付いているようで。



「グランドライン、ラフテル、七武海…聞いたことある単語は?」



オヤジの問いに名前は首を傾げた。

エースは(やはり)よく解っていないらしく「何言ってんだオヤジ?」と小さく呟く。



「…聞いたことないです」
『…!』







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